◆SCMS規格について 以前はデジタルオーディオ機器はCDプレーヤしかなく普通のカセットデッキで録音するぶんには全く気にせず録音されていたと思います。 デジタルオーディオに対する規制がかかったのはDATが登場するあたりで、私もDATの販売には期待していたのですがなかなか出てきませんでした。 これにはCDからコピーする際にデジタルでCDのデータをそのままテープに収めてしまうと音質的な劣化が全く無い為に著作権とかなんかで色々ともめていた時期があり、その為に結果として製品の販売時期が遅れてしまう原因となっていた様です。 最初にDATが登場した時にはこのSCMS規格はまだ姿を現しておらず、CDからのデジタル録音は不可能となっていました。 デジタル信号には32KHz/44.1KHz/48KHzの3種類のサンプリング周波数が存在しており、この中の44.1KHzはCDやDATの販売物専用のサンプリング周波数となっており、DAT側のメカコン用のCPUにより入力される信号が44.1KHzの場合は録音状態にできなくするプロテクトシステムを採用していた。 ◆旧機種DATのプロテクトを解除する たまたまDAT発売時期のメーカー主催でのデモに参加する機会が有り、SONYとPIONEERの技術関係の話を色々と聞け、プロテクトを解除できる可能性があった為にDATを購入するきっかけとなった。 この2つのメーカーでは『著作権の問題が解決しないままDATを販売する為の妥協策として44.1KHzを再生専用としてだけ機能するようにメカを制御しているCPUをプログラムしているだけで、どちらのメーカーも著作権の問題が解決しデジタルコピーが可能になれば最寄りのサービスステーションでプロテクトを解除します・・・』と言っていた。 更に内容を聞いてみると、部品を交換するのではなくメカコン用のCPUにモードを設定できる信号線を用意しておき、ここの端子を+と−のどちらにつなぐかの組み合わせで解除できる簡単なものだと言う。 その為にある程度知っている人であれば解除できるかも知れないとの事でした。 しかし購入してもこのプロテクトの解除方法は教えられないとの事でした。 そこでさっそくこの2社のカタログを取り寄せてみたところ、SONY製のは光デジタル端子が入出力とも無く、PIONEERは光も同軸も両方付いていた為にPIONEERに決定し販売店の方に全回路図をサービスステーションから取り寄せてもらう事を条件に購入した。 機種はPIONEERのD−1000で、テープの出し入れの度にユニットごと前後にスライドする物で右図にある様な製品であった。 この製品を購入後試してみた所、44.1KHzの録音一時停止状態まではなるものの一時停止を解除すると直ぐに停止状態になってしまう。 なるほどデモで聞いた事と全く同じ現象が再現でき、早速解除にとりかかった。 尚SCMS規格対応のDATやMDでは、ほとんどの場合ワンチップ化されており今回説明している解除方法では解除できませんので、外部にプロテクト解除回路を付加して利用してください。 また、このタイプのDATも販売から10年以上も経っている為にあえて解除方法を記載いたしました。 現在は人手に渡り手元に実機が無い為に詳しい図を載せられないのが残念ですが、手元の少ない資料の中から説明いたします。 デモの話しのように回路図のメカコン近辺を捜したがそれらしい所が無く、色々と捜した結果右図の様にそれらしい場所を発見。 場所はデジタルオーディオ信号が出入りするデジタル入出力用のLSIを制御しているIC720(PDG007)のデジタルI/OコントロールCPUに有った。 このICの60ピンから63ピンの4本の信号線を見ると47KΩと0Ωで組み合わせて取り付けてある。 他にはこの様な場所が無かった為にまず間違いなく、この4本の信号を組み合わせてみる事にした。 組み合わせは4本(4ビット)で16通りの組み合わせが有るが、そんなに組み合わせが必要無いものと判断して1本づつ信号線を変えてみる事にした。 このジャンパー部分は本体の底板を取り外すと右図の様になっており、赤色の印の部分に+と−に切換える為のチップ抵抗が載るパターンが見える。 この部分を拡大したのが左図で、上側に0Ωの抵抗を付けると−で下側に47KΩの抵抗を付けると+側になるようになっている。 この左の図は標準仕様のプロテクトが付いている状態のもので、プロテクトを解除するには60ピンと62ピンも−に接続する必要が有る。 その為に部品のリード線などで0オームの抵抗代わりにし、R741とR743をジャンパーする必要が有る。 この際にR774やR776に付いている47KΩは取り外す必要が無く、取り外しても外さない場合にでも全く動作に影響が無い。 この様に切換えるだけで簡単にプロテクトが解除でき、旧式のDATでは44.1KHzのデジタル録音やアナログまでもが利用可能となる。 ただ、旧式からSCMS対応のDATへ録音すると、これでできたテープは旧式では扱えないテープとなってしまう。 そのために、旧式を受け側に使用する必要があるが、ABS.タイムを記録しない等の多少の問題が有る。 ◆デジタルダビングについて デジタルでコピーできるようになると、書込みミスが発生せず回転ヘッド機構によく有りがちなドロップアウトも発生しなければ、録音したテープには100%CDと全く同じデータが記録される為にいつもCDを聞いているのと同じになる。 こういった音質的な問題の他にも、データとしてコピーする為に録音ボリュームの調整も不要となる。 この様に便利で質の良い物を利用しない手はなく、是非プロテクト解除ユニット等を使用してオリジナルテープの作成や編集にどんどん利用してください。 尚当然ですが、MD等のデジタル製品にも同じ事が言えます。 メインに戻る ⇒ オーディオメニュー ⇒ 機器関係 ⇒ デジタルオーディオ詳細 |