使用機材の選択と実験について


◆機材の入手
 地上波デジタル放送の受信状態を確認する為にまずは機材を揃え る必要があるが、実用が可能となった際にはできるだけそのままの 機材が使える事を考慮する。
 UHFのアンテナ等はできるだけ利得を稼ぎたい事もあり『大は 小を兼ねる』でもよいのだが、30素子ともなると全長が3.0m 前後にもなり、重量的にも4kg弱と重くなる事から特に注意が必 要である。
 当地でも2005年12月から地上波デジタル放送の本放送が数 局始まった事もあり、とりあえず正月休みにでも実験しようと右図 の様な機材を揃えてみた。

◆地上波デジタルチューナについて
 当初は地上波デジタル放送用だけのチューナを探したが、結局は デジタルBSや110゜CSチューナも搭載されており、実売が5 万円前後と高価だった為に検討を見送ってきた。
 そして地上波デジタル放送が受けられなくともデジタルBSや1 10゜CSが使える為に、実際に利用するとなると留守録できなけ れば意味がなく、多少高くともDVDレコーダの方が利用価値があ りこちらの方向性で行く事にした。
 調べてみると8万円前後でDVDレコーダが購入できる事がわか り、Pioneerでもいよいよ年末に発売する事がわかりそれま で待つ事にした。
 そして出てみると機能的に若干問題が無くは無かったのだが、と りあえずチューナ代わりとして購入する事としたが、丁度オーディ オラックがDATやMDの処分で空きがあり、並べると配置的バラ ンスが良い事から2台購入してみた。
 今回の機種ではデジタル放送のダブ録は不可能だった為に、2台 あればとりあえずダブ録も可能となる為に、そんな事からも2台に してみた。
 またアナログ放送とデジタル放送とでHDDの領域を予め取って おく必要がある事もあり、万が一の為にアナログ放送用にも領域を 割り当てると少なくなってしまう為に、250GBモデルもあった のだがデジタル放送でのHDD使用量が大きい為に500GBモデ ルを2台用意してみた。
 秋頃からマスプロ電工等から3万円台の地上波デジタル放送とデ ジタルBS/110゜CSチューナが発売された様だが、結局録画 したくなる場合も発生する事から、やはりDVDレコーダ等を購入 した方が良いかも知れない。

◆UHFアンテナについて
 今回は電波状況が非常に悪い事から利得はできるだけ確保したい 為に素子数は多い方が良いのだが、素子数が増えると指向性が狭く なり直進波を取れれば問題ないのだが、今回は山の陰の為に利得と 指向性のどちらをとるか悩む所であった。
 また、素子数が増えると全長も長くなり14素子では1m前後な のだが、20素子では1.5m前後となり30素子では3m近くに もなってしまう為に実験時の取り扱いや、実際に設置工事をする際 にも大変そうである。
 特にアンテナ重量が14素子では1kg前後であるが20素子で は2kg前後となる事から30素子では更に重くなり、実験時のマ ストの長さを長くすればするほど大変になるだろう。
 当然、実際に利用する事となれば大型の重量アンテナでは中途半 端な設置工事をするとすぐに倒れ、アンテナだけではなく屋根まで もが破損してしまう為に注意が必要である。
 特に積雪地域では屋根の上にアンテナを設置する場合には、アン テナを支えるステーワイヤーが雪の落下時に引っ張られ、下手する と設置したその年の冬にワイヤーが伸びたり切れたりしてしまう事 から、設置工事時にはワイヤーの張り方に関してはその設置方法等 に十分注意し雪対策を十分考慮して設置する必要がある。
 アンテナを色々と調べていると面白い物を発見した。
 通常は右上図の様に通常のアンテナでは導波素子自体が真っすぐ のパイプ材を使用し素子数分並んでいるのだが、今回見つけたのは 右図の様に導波素子がアンテナブームの上下を挟む様に上下に並ん で取り付けてあり、同じ素子数でも通常のアンテナよりも1〜2d B以上は高い利得が得られる様である。
 右図はマスプロ電工製のものだが、更にこのタイプにはUHFの ch13〜62全帯域用とch13〜44のローバンド用があり、 ローバンドタイプを使用すると更に利得が1〜3dB位上がる様だ が、中継局は高い周波数を利用する可能性がある為に今回は全帯域 用のアンテナを選択する事にした。
 また、この導波器が4段になっているタイプでは当然重量も重く なり、通常のタイプの2倍近い重量になってしまう為に30素子で は4kg弱になってしまう事もあり、今回は20素子タイプを購入 して実験する事にした。
 これまでUHFのアンテナを使用していれば買い直す必要はない のだが、当方ではこれまで共同アンテナだった事もあり始めてアン テナを購入する事となった。
 購入してみて導波器を良く見てみてると、右上図の様にクロス状 の黒い樹脂に挿し込まれて取り付けてあり、ブームの上下にある事 から通常の2倍のエレメントが装着されている事になる。
 製品のパッケージは上図の様に半完成の状態で上手くコンパクト に梱包されている。
 中は2箇所の固定だけで輸送にも耐えられる様にしてあり、今回 は通販により宅急便により届けられたが、大きな傷や変形はもちろ んだが部品同士の擦れ傷等もほとんど無かった。
 半完成と言えども左図の様にほとんど完成品に近く、アンテナ本 体は前後に2分割となっているだけで、あとは受信する為のビーム ダイポールと反射板に支持ブームの5分割になっているだけで、組 み立ては比較的簡単になっている。
 ビームダイポールのキャップを開けてみると右図の様になってお り、75Ωの同軸ケーブルが接続できる様になっているが、ケーブ ルには5Cか4Cサイズを使用する必要がある。
 取説を見てみると200Ωのフィーダ線も使用できる様になって いるが、アンテナのムーブや金属製のマスト等に近付けると受信状 態に影響する為に、同軸ケーブルを使用した方が良いだろう。
 ビームダイポールは左図の様に前後を間違えない様に取り付けて から、予めブームに取り付けてある蝶ネジ1本で固定する様になっ ている。
 反射板に付いても右図の様に反射板に取り付けてある蝶ネジを使 用して、ブーム後端上下に取り付けてあるリフレクタ取付金具を開 いておき、金網の様な大きな反射板を上下2枚を取り付ける。
 また、前後2分割になっているブームは支持ブームを挿し込む金 具が付いている取り付け方向を確認しながら組み立てる様にする。

◆デジタルBS/110゜CSアンテナについて
 今回は地上波デジタル放送の受信確認だけを行う予定であったが 、単体チューナやDVDレコーダのチューナではBSデジタルや1 10゜CSまでもが受信できる事から、当初は予定していなかった が急遽アンテナを購入する事にした。
 こちらは衛星放送の為に山の近くにある自宅でも受信できるが、 雨や雪の影響と取り付け機材の安価さを考え一般販売されている中 でもどちらかと言うと中間の部類にある45cmサイズを購入した 。
 今回は左図の様な Panasonic 製のアンテナを購入したが 、他社の マスプロ電工 DXアンテナ 日本アンテナ 等であれば同サイズのアンテナが半額近くで購入できる事からそち らをお奨めする。
 性能的にもさほど大きな違いは無く、どちらかと言うとPana sonic製のアンテナよりも他社製の方が若干軽い為に、更に大 きな50cmや60cm以上のアンテナを使用しても安いだろう。
 しかし、表示上では50cm以上のアンテナを使用する場合には 風圧等も考慮すると専用金具が必要となる為に、取付金具を選定す る際には十分注意して購入する必要がある。
 コンバータ部分は右上図の様にアームと一体式だが、全て樹脂製 の為に夏の暑い中で数年使用すると変形しないのかどうか若干不安 な部分がある。
 コンバータの出力は右図の様にF型コネクターで取り出す様にな っており、ここからは付属のコネクターや防水キャップを使用して 配線する様にするが、防水キャップが付いている為に問題はないと 思うが付属しているコネクターは防水型ではなく一般的な物である 。
 また、今回購入したアンテナにはアンテナマストに直接取り付け る為の金具しか付属していない為に、ベランダを挟み込むタイプ等 の取付金具が必要な場合には、予め別途購入して準備しておく必要 があるだろう。

◆アンテナブースタについて
 以前から各部屋への分配数が多い事から、一旦外から来ている共 同アンテナの信号をアンテナブースタで増幅してから、天井にある 8分配の分配器へと送り込んでいた。
 今回も同様に分配器の減衰を予測しアンテナブースタを用意した が、特に今回は実験の為に共同アンテナであるVHF帯域も利用し デジタルBSや110゜CSも利用できる様に、全てを混合できる タイプのアンテナブースタを選択する必要があり、用意したのが上 図にある共聴用アンテナブースタである。
 今回選んだブースタは共聴用としては安価で、右図の様に色々な 状況に対応できる様に、各切り替えのスイッチや調整用のボリュー ムが多数用意されている。
 その為に今後のアンテナ設置状況が変更になっても、このブース タだけは変えなくとも対応できるようになるだろう。
 切り替えにはVHF/UHF/BS・CS毎に入力アッテ ネータと利得調整ボリュームがあり、特にFM帯域カットスイッチ やVHFはLowチャンネルとHiチャンネルが別々に調整可能と なっている。
 UHFに於いては自動利得調整機能が付いており、地上デジタル 放送の電波が今後強くなったとしても、調整時の利得を維持する為 にUHFのアナログ放送に悪影響を及ぼす事無く安定した受信がで きる様になる。
 やはりまだまだアナログ放送は捨てきれず、ほとんどの家庭では 複数台のテレビがある為に一気に地上波デジタル放送には切り替え られないだろうから、このUHF自動利得調整機能はかなり便利か も知れない。
 また共聴器の良い所は左図の様に全てネジ式のF型コネクターを 使用している事で、どうしても一般民生用であればケースのフタを 開けてネジ止めすると言った簡易的な接続となる。
 ブースタも線材の引き回し等で発振等を起こす可能性があるらし い為に、やはり初段に用意するブースタと言う事もあり金属ケース でネジ式のF型コネクターでしっかりと配線できるタイプの方が良 いだろう。

◆その他のアンテナ機材について
 デジタルBS/110゜CSのアンテナ取り付けには左図の様な 取付金具を用意してみたが、これを利用して2階の壁面へ設置する 事にした。
 今回用意したのはDXアンテナのMHW−701であるが、取り 付け面が塗装された壁面で凹凸がある為に、右図の様に2mm厚の ゴムシートを用意して挟み込む様にして取り付ける事にする。
 また、取付金具にはアンテナの適応サイズがある為に、購入の際 には十分注意して購入する必要があるが、ほとんどの場合には40 /45cmサイズであれば問題ないだろう。
 左図にあるのがアンテナケーブルとして使用する同軸ケーブルで 、今回は5C−FBを用意したがここ数年では取り扱い易い為か4 Cサイズのケーブルが出回っている為に、コネクター等を選ぶ際に は間違わない様に確認する必要がある。
 また同じ5Cサイズでも以前のVHF/UHFのみで使用する5 C−2Vではなく、FBタイプを使用しないと衛星関係の帯域で使 用できない為に間違わない様に選択する必要がある。
 コネクターには左図の様なF型接栓を使用するが、こちらにはサ イズが色々あり一般的には3C/4C/5C/7Cとあり、ここ数 年では4Cか5Cが使用されていて間違い易い為に、使用するケー ブルの太さを確認しておく様にする。
 また、屋外部分に使用する際には右図の様な防水型のF型接栓も あり、多少高いが屋外部分には必ずこの防水型を使用しておいた方 が良いだろう。
 更に実験の最中にはUHFアンテナの様にケーブル自体を直接剥 いて接続する製品では着脱の際に面倒な為に、左図の様なF型接栓 用の中継コネクターを用意して、アンテナ側に短いケーブルを出し ておきこの中継コネクターを使用して着脱が簡単に行える様にして おくと良いだろう。
 また、今回は最終的にアンテナブースタにてVHF/UHF/デ ジタルBS/110゜CSと全てを混合して各部屋に送り出す事に なる為に、各部屋では右上図の様な分波器を使用してDVDレコー ダやテレビに接続する事となる。
 この製品はまずU/VとBS関係を2つに分け、U/V側を分配 して地上波アナログと地上波デジタルチューナに供給できる様にし た製品であるが、何れ地上波アナログ放送が終了すればU/VとB S関係に分ける分波器だけしか必要なくなる。
 今回は共同アンテナから供給されるVHF帯域もしばらくは使用 する為に、この3分配の分波器を台数分用意して使用する事にした 。


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