実際に受信してみる


◆受信実験機材の準備
 アンテナを設置し終えたならば今度は実際に受信する設備を用意 して接続するが、今回は右図の様にPioneer製のDVR−D T90を用意した。
 また、その上にあるレコーダは以前使用していたDVR−510 で、これはこのホームページを製作する為に操作画面を含めた記録 を残せる様にした物であり、今回の地上デジタル放送の受信実験に 関係する機材ではない。
 更にチューナで受けた映像やアンテナレベルを見る為にモニター が必要であるが、大きいテレビでは移動が大変な為に図の様な14 型小型テレビを用意した。
 受信実験はチューナにアンテナを直に接続した状態で行うが、一 通りの実験が終了した後で既に用意してあるアンテナブースタを接 続した状態でもテストしてみる事にした。
 その際には右図の様にチューナ背面に取り付ける予定の分波器も 取り付けてみて、どれだけレベルが落ちるかも確認してみる事にし た。

◆チューナの設定(DVR-DT90の場合)
 地上デジタル放送を受信する際には、まずチューナへ左図の様な B−CASカードをセットしておく必要がある。
 このカードはとりあえず登録せずとも使用できるが、カードを挿 入しておかないとデジタルBS/CSも含むデジタル放送関係が一 切受信できない為に必ずカードを使用する様にする。
 そしていよいよチューナの設定に移るわけだが、デジタル放送関 係の設定項目の先頭には右上図の様な『居住地域設定』項目がある が、これは電話回線設定の説明部分にある為に今回は関係ないのか も知れないが、何の部分にこの居住地域設定が関連しているか不明 な為に一応この部分も設定しておく様にする。
 その際には郵便番号はリモコンにある数値キーを直接入力し、地 域設定ではリモコンの左右スイッチを押す事により住んでいる地域 にもっとも近い地域名を設定する。
 次に地上デジタル放送のスキャンを行い、現在受信できるチャン ネルを自動的に設定させる必要がある。
 これは左図の様に地上デジタルチャンネル設定画面にある『初期 スキャン』を選択し、右図の様に表示される初期スキャン画面で地 域を設定し開始する。
 ここで地域を設定しスキャンをしないと地上デジタル放送の場合 には全く受信できず、地域の設定だけを行える項目も無い為に必ず 地域指定後はスキャンする事になるだろう。
 スキャンが開始されると左図の様な処理進行中のバーグラフ画面 が表示され、全チャンネルをスキャンするまでに約1〜2分前後は かかる様である。
 ただ、ここで実際に受信できる方向にアンテナが向いている事が 条件であり、スキャンしてみて1局も受信できない場合にはアンテ ナの方向を再確認する必要があり、特に現在中継所の電波を受けて いる場合には地上デジタル放送はサポートされていない場合が多く 、どこから電波が送出されているのかを事前に調べておく必要があ るだろう。
 今回はおおよそのアンテナ位置で一旦スキャンしたところ右上図 の様に現在放送されている地上デジタル放送局を全て受信する事が できたが、実際にはこの設定された各チャンネルでのアンテナレベ ルを確認し、アンテナレベルが最大になる位置に合わせてから再び 初期スキャンをかけてから以下のアンテナレベルを再調整してみた 。

◆アンテナレベル表示(DVR-DT90)
 以前のアナログBS放送と同様に、アンテナの方向を設定する目 安としてアンテナレベルの表示機能が付いていたが、デジタルBS /CSと地上デジタル放送にもこのアンテナレベル表示が付いてい る様である。
 今回使用したPioneer製のDVDレコーダにもこの表示機 能が付いており、左図の本体設定メニュの中のデジタル放送項目に あるアンテナ合わせにて表示できる様になっている。
 アンテナレベル表示画面は左図の右側にある様に、表示画面が地 上デジタルとBS/CSとにわかれており、今回は地上デジタル放 送のアンテナ合わせの為に『地上デジタル』の項目を選択して表示 させる様にする。
 地上デジタル放送用のアンテナレベル表示画面は右図の様になっ ており、受信チャンネルの変更ができる様になっているがこのチャ ンネルは物理CH表示の為に、スキャンした時の物理チャンネルを 覚えておく必要がある。
 その為に、スキャンした時には受信されたチャンネルがリモコン に割り当てられる為にこのリモコン番号を覚えておき、一旦通常の 画面で地上デジタル放送を選局してからアンテナレベル表示画面に 切り換えた方がよいだろう。
 アンテナレベルの調整には右図の下部にある現在地と最大値を利 用して、まずはアンテナをゆっくりと左右に数回振り最大値がどこ まで上がるのかを確認しておく。
 そしてその表示された最大値になるアンテナの方向を探し出し、 その部分でアンテナを固定すれば一番良い受信状態となるのだが、 これは1局だけで調整せず全ての局で調整してみる。
 その為にまずは各局毎の最大値を探し出しておき、最後に合わせ た局のアンテナ位置で他のアンテナレベルが最大値になっているか どうかを見てみると良いだろう。

◆アンテナの方向確認
 実際に受信できるチャンネルにてアンテナレベル表示を見ながら アンテナの方向を変えてみるが、左右の図の様にアンテナレベルが 30を切ってしまうとブロックノイズが発生してくる。
 しかし、このアンテナレベルは今回使用したPioneer製D VR−DT90の場合で、別メーカや同メーカでも違う機種でも同 じかどうかは不明である。
 このアンテナレベルは何を基準としての数値かは不明で、今回使 用した機種では30以上でないと不安定になり、できれば常に50 以上のレベルは確保したい所である。

◆全チャンネルのレベル確認
 上記までの方法で各チャンネル毎の最大レベルを見て、そこから アンテナを固定する場合を想定して妥協点を探してみた。
 その結果が以下にある表で、どうしてもNHK教育だけがレベル が低く、NHK総合と同じ送信所を使用していると思われるがこれ だけの違いが出た。
 まだ2階のベランダからの実験と言う事で以下の表は正式な値と しては捕らえられないが、今後予定している屋外からの実験でどう いった結果が出るかである。
 また、何故かブースタを使用してもアンテナレベルがほとんど変 わらず、UHFの自動利得調整を外し手動にして調整してもほとん ど変わりが無かった。
地上デジタル放送ベランダからの受信 (2006.02.25)
ch 放送局名 アンテナレベル
リモコン 物理 アンテナ直 ブースタ使用
1 11 NHK総合 35 36 35 36
2 21 NHK教育 28 29 28 29
4 41 山形放送 44 45 44 45
6 61 テレビユー山形 36 37 36 37
条件:アンテナ(マスプロ LS20),ブースタ(マスプロ VUBCA33AG)
        チューナ(Pioneer DVR-DT90),同軸ケーブル(DXアンテナ S-5C-FB(G))
 それにしても地上アナログ放送では右図の様にほとんど見れる 状態では受信できなかったものが、デジタルになった事で受信が 困難だった場所でもこれだけ綺麗に見れる事がわかった。
 今回、地上デジタル放送の受信前にアンテナを地上アナログ用 のVHF/UHFアンテナ端子に接続して受信させてみたが、右 図の様にかなりひどい受信状態である事がわかるだろう。
 この同じ番組を地上デジタル放送で受信したのが左図で、レベ ルは40前後といまいち低いが、それでもノイズやゴースト等も 一切無く綺麗に受信できてしまう為に、今後予定している屋外実 験では現在より山際から50mは離れ、アンテナポールも今回の 高さと同じ位置で試す他、更に2m前後高くする予定の為に結果 が楽しみである。

◆アンテナの分解ついでに・・・
 今回の屋内実験も無事に終わり、とりあえず機材が邪魔になる 為に片付けておく事にしたが、分解ついでに左図の様にLS20 のブームが2分割構造の為に先端部分だけ取り外してみた。
 さすがに利得が落ちるだけあってかアンテナレベルを見ている と3〜4は低下してしまう様である。
 しかし、アンテナを更に西の方を向け左図の様に壁に向けてみ ると、なんとこれまで窓枠でこの方向に向けられなかった為にわ からなかったが、なんと半分の素子になったのにも関わらずこの 位置で20素子のベストレベルと同じレベルで受信し始めてしま った。
 その為に20素子アンテナ時は窓枠の制限があり向きが適切で なかった様で、これは実験場所のスペースの問題の為に屋外での 実験の際に再検証する事とした。
 更に分解して行くついでに右上図の様にビームダイポール部分 のみの2素子?だけでも受信してみた。
 この状態ではとても受信できるとは思わなかったが、なんと右 上図の様な状態で回転させ、アンテナレベルを見ていると20素 子の半分にした時とほぼ同じアンテナレベルで受信してしまう事 がわかった。
 その為に左図の様に物干し竿にアンテナ線を引っ掛け、逆さに ぶら下げる様な感じにしてアンテナ方向を合わせると、右上図の 様に手で持ち上げていた時とほぼ同じアンテナレベルになる様で ある。
 この事からも地上デジタル放送ではあまり素子数が多くなく、 意外と5素子程度の小型な物でも十分受信できる地域が多いので はないかと思われる。
 その為に、機会があれば左図にある様なプラスチックで覆われ たアンテナ等でも試してみたい所である。
 また、通常の形状をしている製品でも右図にある様な5素子程 度の小型アンテナでもエレメントが2重になっている物もある為 に、もしかすると結構良い結果がえられるかも知れず、機会があ ればこれらでも是非試してみたいところである。


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