リアダンパー/スプリングの比較
◆比較してみる
早速取り外した物を比較してみたが、まず気になったのがスプリ
ングのマークで、ノーマルGT−R用として購入したスプリングが
右図の様に黄色1・水色1だったのに対して、V−specの車両
に付いていた物は左図の様に黄色1・緑色2であった。更にスプリングの違いについては後半で分解してスプリング単体 同士で比較する事にする。
そして上部のスプリング受けを見てみると、左図の様に赤茶っぽ
いガスケットが今回購入した物と比較すると元々この形をしていた
のかと思うほど変形していた。以前、ステージア等も分解した事があったが固定ボルト部分の穴 は切れてしまっていたりした事を思い出した事もあり、ダンパーの みの交換の場合にもこのガスケットは再利用不可能と考えた方が良 さそうである。 また、右図のスプリングに付いているチューブも今回は大丈夫だ ったが、以前分解したステージアではスプリング受け皿に当たって いる部分が完全に切れてしまっていたのを思い出した。 しかし、このスプリングに付いたチューブだけは単品で買えずス プリングとセットになっている為に、交換しようとするとかなり高 価になってしまうだろう。 ◆ダンパーロッドが短い!?
早速ダンパー自体を比較しCリングの位置を決める必要がある為
に左図の様に並べてみたが、やはり純正ダンパーも分解しないとロ
ッド部分が隠れている為に比較にならない。その為に仮にエナペタルダンパーの方にも右図の様にブッシュ類 や上部のスプリング受け皿を取り付けスプリングだけは抜いた状態 で比較してみた。 するとエナペタルダンパーの方がなんとなく短い様な感じがあっ た。
再度、両ダンパーの下部を合わせダンパー上部を比較してみると
左図の様にエナペタルダンパーが短いのがわかるだろう。ブッシュ類が新しいからと言う事ではない証拠に、左図のロッド 保護用のジャバラ部分から右方向にある金属製の皿が見えるが、こ の部分はロッドの先端にある段差に引っ掛かっている部分に固定さ れている為に、この位置で既に左図分の長さだけの違いがあるのが わかるだろう。
更に、ロッド先端部分も見てみると左図がこれまで使用していた
純正ダンパーのロッド先端で、右図のエナペタルダンパーでは下に
あるススペーサを入れるとネジ溝が1巻も出なくなってしまう。この部分に関してはスプリング受け皿の前後にあるブッシュ類の 影響がかなり大きい為に、後にロッド同士の比較を行う際に再度こ のロッド先端部分も一緒に確認してみる事にする。 ◆ダンパーロッドの比較
ダンパーロッドの比較の前に、とりあえずシリンダーのシェルケ
ース自体も比較してみる。こちらは見た目でも同じ長さに見える為に問題無いと思うが、左 図の様にダンパー同士を並べて右図の様にダンパー下部の取り付け 穴同士を一致させて並べる様にする。 どこを基準にして測定するかは問題により変わるかも知れないが 、今回はシェルケース自体はほぼ同じ長さの為にロッド長が問題な のではないかと言う判断から、問題の無いシェルケース下部の取り 付け部分を基準にする事にした。
そして仮にCリングが5本あるうちの中心位置に組まれて来たま
まの位置に受け皿を入れて見た所、若干受け皿の位置が異なってい
たものの、こちらはCリング位置で高さを±10/20mmと変更
できる為に後に調整する事にする。更にシェルケースの上端を見てみると右図の様に若干の違いはあ れど2〜3mm程度の違いの為にまず問題は無いだろう。 これはシェルケース先端の封止方法の違いから出る誤差もあり、 ロットがストローク上での問題になるほどの違いではない為に、シ ェルケース長に関しては全く問題無いと判断する。
そしていよいよピストンロッドの比較だが、純正ダンパーから周
辺部品を取り外しロッドだけにしてみると一目瞭然で、左図の様に
明らかにロッド長に違いがある事がわかるだろう。左図に見える段差部分にあるカーラースペーサの部分に先程のロ ッドブーツが取り付き、その上に金属製の皿が取り付く為にこの部 分が上部関係の基準となる。 更に長さの違いがよくわかる様にピストンロッド同士を向かい合 わせにして見たものが右上図で、単純に図の左側にできた隙間がエ ナペタルダンパーのピストンロッドが短い分である。
そしてその隙間をスケールで測定してみると左図の様に20mm
短い事がわかる。これはピストンロッド自体が短い為に、ダンパー下部から上部に 取り付くスプリング受け皿自体の位置が決まってしまい、このまま 使用するとCリングの位置に関わらずダンパー自体の最大長が純正 よりも20mm短い為に、最低でも20mmの車高ダウンとなって しまう事がわかるだろう。 元々、『車高は下げない』と言う仕様を伝えてあった為にこれは 完全な仕様ミスである。 また、ロッド先端部分も新しいブッシュ類を使用した結果、ナッ トがかからないほど短くなってしまった件も検証してみるが、こち らは右上図の様にカーラー部分に付くブーツ取り付け段差部分同士 を向かい合わせた結果、こちらは長さ的には何の問題も無い事がわ かった。 かえってナットをかけるタップ長が長い為に、締め過ぎると純正 ダンパーより閉め込まれてしまいブッシュ類が異常変形する可能性 がある為に組み付けの際には十分注意して作業する。 ◆エナペタルに連絡してみる 作業は土・日しかできずこの問題が発生したのも土曜日で、ダメ もとでエナペタルに電話を入れてみたが、基本的にエナペタル自体 は土・日が休みらしい。 その時はたまたま偶然に受付担当が出て、組み付けの方に確認し てみると言う事ですぐに結果をもらえる事になった。 するとやはり20mm短く作ったようで、車高を下げるのにスプ リングが遊ばない様にと気の利いた?標準仕様で作ったとの話であ った。 しかし、今回は車高は下げない仕様を伝えてあった為に、絶対に 20mm下がる仕様ではどうしようもない事を伝えた所、20mm ロッドを伸ばして作る直すと言う事になった。 この時点ではリアダンパーの確認だけだった為に、フロントも確 認してからもう一度電話する旨を伝えると、フロントも20mm短 く作ってあるとの解答であった・・・(^_^;) 確かに、20〜30mmの車高ダウンは丁度良い高さなのだが、 足周りの調整ができないR33ではまたタイヤの片減りがひどくま ともな接地をしなくなってしまう。 どうしても下げる場合にはアームから全て変更する必要があり、 それだけでも20万近くかかってしまうだろう。 とりあえず次の日に宅急便でダンパーを送り返し、手直しが完了 するまで待つ事となった。 月曜にダンパーが届いたと言う連絡を頂き、木曜に発送できると 言う旨の連絡が入った。 今度こそ週末には完成して・・・と思ったのだが、金曜の焼肉パ ーティーでの肉に当たってしまい、土曜は早朝から下痢が止まらず 1日ダウン・・・(~_~;) ダンパーは予定通り金曜の夕方に到着しており、あとは交換作業 をするだけだったが・・・ 何故か今回は色々な面でついてない事が多く、まさか今後も何か あるのでは・・・(-_-;) ◆Cリング位置の決定
今回は寸法的に比較しCリングの位置を決めてみる。まずは左図の様にダンパー下部より右図のスプリング受け皿面で 巻き始めの一番凹んでいる部分までの寸法を比較する。 本来はダンパー下部取り付け穴位置より測定する方が正確なのだ が、今回購入したエナペタルダンパーは純正ダンパーと下部形状が 寸法的に全く同じだった為に、計測上簡単な位置であるダンパーの 最下部より計測する事にした。
計測の結果は純正ダンパーの場合には右上図の様に415mm弱
となっているのに対し、左図のエナペタルダンパーの標準Cリング
位置(中心)では420mmとなっていた。この段階で下側のスプリング受け位置がエナペタルダンパーの方 が5mm程上がっている事になるのだが、Cリングの可変ピッチが 10mm単位の為に1つ下げると逆に5mm低くなる事になってし まう事から、更にロッド側も計測してからどうするか検討する。
同様にして上図右側の様に今度はスプリング下部受け皿面よりロ
ッドの長さを計測してみた。ロッドの計測位置は左右の図の様にロッドの途中にある段付きカ ーラーの段差部分までの距離を計測する。 その結果、左図の純正ダンパーの247〜248mmに対してエ ナペタルダンパーの方では240mm丁度と7〜8mmほど短くな っているのがわかるだろう。
その為に下部受け皿が5mm高くなっている事を差し引けば、ス
プリングが入る部分は純正と2〜3mmだけの違いである為に、今
回の修正で限りなく純正に近づいた事がわかる。スプリングの初期圧縮寸法がほぼ同じであれば、Cリング位置を そのままにすれば5mm車高が上がる為に、今回は5mm低くなる 方のCリングを1段下げる設定にしてみる事にした。 Cリングはその名の通りC形状のリングが左図の様にダンパーの シェルケース外形に刻まれた溝にはめ込まれているだけで、リング の切れ目を開きながらリングを移動すれば何も工具を使用せずとも 移動できるが、リングが細い為に指に突き刺したりしない様に十分 注意して作業する。 Cリング用の溝は左上図の様に5本切られており、標準ではその 中央部分に取り付けられてくるのだが、今回は上記内容によりCリ ング位置を1段下げて左図中の下側の様に変更する。
その結果、ダンパー下部からの寸法は純正の415mm弱に対し
て左図の様に410mmとなり5mm弱低い位置となる。またロッドのカーラーまでの寸法は純正の247〜248mmに 対して右図の様に245mmと2〜3mm低くなる。 この事から同じV−spec用のスプリングを入れると確実に2 〜5mmは低くなる様だが、今回はノーマルGT−R用のスプリン グを入れてみる為に、スプリングがどのように違っているのかも比 較して検討してみる事にする。 ◆スプリングの比較
左右の図がノーマルGT−RとV−spec用のスプリングを比
較した図で、ノーマルGT−R用のスプリングがかなり長い事がわ
かるだろう。しかし右図をよく見てみるとスプリングの全長がただ長いだけで はなく、巻数を数えてみるとV−spec用のスプリングに対して ノーマルGT−R用のスプリングが完全に1巻多い事がわかるだろ う。 これはまるでダウンサス用のスプリングを入れてあるかの様で、 実際にはカタログ上でもノーマルGT−Rに対してV−specは 10mm車高が低い事になっている。
バネレートに関してもカタログ上では確実にV−specの方が
数値が大きくなっている為に、試しにどれだけつぶれるのかを左右
の図の様に体重をかけてスプリングを多少圧縮してみた。左図ではV−spec用のスプリングを縮めてみたが、右上図と 比較して見てもらうとわかると思うがほとんど見た目ではわからな い程度しかつぶれない。 しかし右図のノーマルGT−R用のスプリングではV−spec 用のスプリングに近い所までつぶれる事がわかったが、まさしくこ れはダウンサス用のスプリングの様な感じである。 これではあまりにも大雑把な検証だが、右上図からもわかる様に 同じ荷重をかけても若干ノーマルGT−R用のスプリングの方が車 高が上がりそうだった為に、寸法上からCリングを1段下げて5m m程度車高が低くなる予定だったが、このスプリングの様子からだ と逆に5mmからカタログ上で出ている10mm程度車高が上がっ てしまう恐れがあるだろう。 この辺に関してはとりあえず実車に取り付けてみて実際に車重を 乗せてみて、どれだけ車高がかわるかを見てみた上で再度Cリング 位置を検討する事にした。 メインに戻る 車両関係に戻る 2ドアメニューに戻る GT-Rメニューに戻る 足周りメニューに戻る
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