NISSAN GT-R V-spec(BCNR33) RB26DETT
GT−Rの始動性の悪さ

◆独特なアイドリング制御
 R32やR33にR34では同型のスカイラインでもGT−Rに 搭載されているRB26DETTでは、同じターボでも他のRB2 0DETやRB25DETではアイドリングの制御方法が全く違う 。
 RB26DETT以外では他の車種でよく見かける方式で、エン ジン始動直後は一旦2,000rpm前後までエンジン回転を持ち 上げ、暖機が進み水温が上昇すると共にエンジン回転を落としてく る方法である。
 しかしRB26DETTの場合には多少微妙に回転が高いが暖機 の有無に関わらずアイドリング時のエンジン回転数を1,000r pmをキープしようとする制御になっている。
 この方法はオイルも冷えて硬くまだ循環していないうちに高回転 まで回ってしまうアイドリングに比べると良い制御方法である。
 しかし、この低く抑えるアイドリング制御の為か始動性が悪く、 エンジン始動後はドッ・ドッ・ドドッ・ドドドドッと5秒前後スー ルしそうな感じでなんとか1,000rpmまでたどりつく感じで あった。
 この事に関しては以前R32のGT−Rを中心として質問が多か ったが、古くなりアイドルスピードコントロールバルブかエアフロ のトラブルかと思われた。

◆リモコンエンジンスタータの誤動作?
 このGT−Rには暖機運転を十分に行える様にリモコンエンジン スタータを取り付けて使用していたが、これまでリモコンエンジン スタータを数十台取り付けた中では始動しない物はあってもセルの 飛び出しが長過ぎるものはこのGT−Rだけであった。
 その為にL端子を接続してみたが、逆にセルの飛び出しがかえっ て長くなり、どうやらエンジンがかからない場合にセルを回す最大 の時間となる様であった。
 その為にメーカーへ問い合わせてみると、『R33型スカイライ ンは充電系が弱くだめなんです・・・』と言う回答であったが、ま たどうせメーカーの言い訳に過ぎないのだろうと思っていた。
 しかし、今考えてみればそれだけR33系スカイラインにトラブ ルが多いと言う事は、全て同じ様な調整で出荷された為に誰にでも 起こり得る現象なのだろうと言う事がわかる。

◆セルモーターの不調
 このエンジン始動直後の不具合を長い間続けた事もあり、リモコ ンエンジンスタータだけでなくエンジンキーでエンジンを始動して もセルモータの飛び出しが戻り難くなった様である。
 どうしてもエンジン始動直後にエンジンキーから手を離してもガ ラ・ガラ・ガララと2〜3秒間は引きずる様になってしまい、そろ そろセルモータの交換をしなければならなくなるかと不安であった 。
 しかし、根本的な対策もできずにセルモーターを交換しても、ま た同じ現象になるのは時間の問題で、何か解決策はない物かと日々 考えていた。

◆何気なく購入した物がキッカケに・・・
 エンジンの自己診断や手動操作できればトラブルの原因も探し易 い為に、GT−Rを購入当初は日産純正コンサルトのハンディター ミナルを購入し様とした時期もあったが、本体だけで20万以上と 言う事で断念していた。
 しかし最近になり海外の方で作成された日産用のPCソフトを見 かける様になり、これらのソフトをケーブル付きで国内にて購入で きる事がわかった。
 その中でも表示が綺麗で詳しく、ROMデータの読み込み機能や マップトレーサも付いていると言う事で PLMS製 のDataScanと呼ばれる物があり、これが国内では GarageIn−take と言う所から販売されている事を知り試しに購入してみる事にした 。
 残念ながらR32用のRB26DETTの設定しかなく、RB2 5DETでも試してみたがマップトレーサは利かず、直接手動でメ モリアドレスを指定すれば表示されるかも知れないがまだ試しては いないのだが、右上図にある基本情報はエンジンに関わらず共通で 表示できる様である。
 このソフトの中でアクティブテストと言う画面があり、この部分 でアイドル回転数を制御しているAACバルブの動作を停止するボ タンがあり、これでコネクター等を外さなくとも調整できる様にな っている様である。
 そして何気なくこのボタンを押してみると、突然エンジン回転数 がガクッと落ち右図の様に500rpm前後で安定する様になるの だが、回転にバラつきは無いものの結構異常振動に近い物が発生し ており、アイドル制御時に利くかどうかは不明だがノックセンサー が上手く生きている為か、よくこれだけ低い回転でも安定するもの だと感心させられた。
 しかし、何故この様な低い回転数にしておく必要があるのかが疑 問だった為に整備書を確認してみると、なんとAACバルブを殺し た状態でIAAユニットのアイドル調整用スクリューを回して90 0rpmに合わせるとあるではないか。
 これでは確かにエンジンの始動性が悪くても仕方の無いセッティ ングである。
 エンジンを始動するとこのAACバルブが効かない状態で始動し 、そして回転数が跳ね上がらない様に徐々にECUにあるアイドル 基準設定値である950rpmに制御するのだろう。
 その為にIAAユニットのアイドル調整用スクリューで設定され た500rpmから、ECUのアイドル調整用ボリュームで設定さ れた950rpmまで回転が落ち着く間がかなり不安定になってし まっていたものと思われる。
 何故500rpmと言う低い回転数になっていたのかは不明だが 、時間が経つとズレてくる物なのかそれとも元々工場出荷時にこの 様な低い回転数に設定してあったのか、いずれにしてもこの異常な 低い回転数設定ではエンジンの不調も招きかねない。
 その為に急遽、アイドル回転数関係の見直しと再調整を行う事に した。


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