NISSAN GT-R V-spec(BCNR33) RB26DETT
アイドル回転数の調整方法

◆しっかりと暖機運転を行う
 エンジンが冷えた状態では暖機運転制御モードとなっている為に 、アイドル回転数の調整だけでなくエンジン関係の調整全てに於い て暖機運転を十分に行う必要がある。
 調整中はもちろんだが、暖機運転時からエンジンの負担となる条 件は全て解除しておく必要がある。
 その中には右上図の様にDataScan下部に各部モニターの インジケーター表示が付いており、その中でもエアコン関係が動い ていない事を確認する。
 また、ヘッドライトやエアコンのブロアーモータにリア熱線等も 使用されているとオルタネータの負担となる為に確実に消しておく 様にする必要がある。
 そして忘れがちな部分であるが、モニターインジケータのニュー トラルスイッチ表示が必ずONになっている事を確認する必要があ る。
 モニターインジケータに無い為にここではあえて上げないが、本 来はスロットルポジションセンサーにあるアイドルスイッチも確実 にONになっている事を確認したいのだが、これらのスイッチが入 っていないといくら調整してもアイドル回転数の調整にはならない 。
 その為に是非確認したい信号なのだが、残念ながら今回使用した DataScanでは未対応で、実際には日産コンサルトでは表示 している為に別のソフトを使用するとこのアイドルスイッチ信号を 確認できる製品もあるかも知れない。
 左右の図は気温20度前後からエンジンを始動し、その1〜2分 後に記録したもので、さすがにアイドル回転数を950rpmに制 御しているとは言えど右図の様に若干アイドル回転数が高くなって いる事がわかる。
 暖機中は気長に水温が上がるまで待ち、けしてレーシング等をし ないようにし、あくまでもエンジンに負担をかけない様にする。
 これはアイドリング回転数の調整だからと言う訳でなく、日頃か ら夏冬に関わらず十分水温が上がるまで暖機する様にする。
 本来は水温よりも油音の方で管理した方が良いのだが、右図の様 に油温計を取り付け60度以上、できればオイルクーラ装着の場合 にはサーモが効く70度前後位まで暖機すれば、コア部分までエン ジンオイルが潤滑する為に良いだろう。
 特に、今回用意した様なDataScanソフトを使用しない場 合には、左図の様に純正メーターの水温計が半分近くまで上がった 状態であれば、完全に暖機できていると判断しても良いだろう。

◆暖機運転後の確認
 十分暖機運転し右図の様にアイドル回転数が950rpm前後に 落ち着いた事を確認すれば良いのだが、この時点での調整がズレて いる可能性もある為に、できれば左図の様な水温計を確認する様に し70度以上を指している事が望ましいだろう。
 水温計が70度を指していてもエンジン回転数が950rpmか ら大きく外れている場合には、ECUにあるアイドル調整ボリュー ムを調整するが、これは後ほどとし先にAACバルブを停止した状 態での調整を先に済ませておかないと調整基準がズレる可能性があ る為に先に調整する必要がある。
 ちなみに、右上図の様に規定通りにアイドル回転数が950rp mにピッタリと合う事は無く、小さい表示で示されている最大値の 975rpmでもわかる様に、規定値としては950±50rpm となっている為に、メーターのデジタル表示部分読みで950rp mとする様にする。
 その際の点火時期は規定値であれば左図の様に21±1BTDC ゜となるはずで、その時のAACバルブの快弁率はだいたい26% 前後でアイドル回転数をキープする様である。

◆AACバルブの動作を停止する
 まず最初にアイドル回転数の調整としては、ECUが各センサー の情報から割り出して算出し制御するAACバルブを停止させ、そ のAACバルブの基準となるIAAユニットの調整を行う。
 AACバルブを停止させる為には、まずメーター表示の右下にあ る左図の様な2つのボタンのうち、下側にある【Active T est】ボタンをマウスで選択する。
 すると右図の様なアクティブテスト画面が表示されるが、ここで は不具合の状態を調べる為に一時的に各データ値を増減できる様に なっている。
 その右上図の右下には左図の様な【BaseIdleAdj】に 【START】ボタンがあるが、このスタートボタンをマウスでク リックする事でAACバルブの動作を停止させる事ができる様にな っている。
 ここでAACバルブを停止するのだからストップではないかと勘 違いする場合があるが、これはベースアイドルの調整をスタートす ると言う意味の為に、バルブのON/OFFと勘違いしない様に十 分注意する様にする。
 その確認すると言う意味でも、右図の様にAACバルブを停止す るとAACの快弁率表示がゼロになる為に、この表示と合わせて確 認する事をお薦めする。
 もしもDataScanソフトを使用せずにAACバルブの動作 を停止したい場合には、右図の様にAACバルブの後ろに接続され ている茶色いコネクターを取り外せばバルブ駆動の信号を切り離し た事になる為に動作が停止するが、コネクターにはロック機構が付 いておりロックの爪を押しながらでないとコネクターを引き抜けな い。
 その為に、無理にコネクターを引き抜こうとすると線材を引き千 切ってしまう恐れがある為に、コネクターを引き抜く際には十分注 意して作業する様にする。
 AACバルブは左図の様にサージタンクの真下にある為によく見 えず、サージタンクを下側から見上げると左上図の様になっており 、これからするとAACバルブはサージタンク中央の真下にある事 がわかるだろう。
 その為に左図の位置から覗いても右図の様な感じにしか見えず、 できれば今回用意した様なDataScanソフトからAACバル ブを停止した方が簡単で良いだろう。

◆アイドル回転数の調整(AAC Valve OFF)
 DataScanソフトからAACバルブを停止すると左図の様 にバルブ開度はゼロとなり、今回調整を行ったGT−Rでは右図の 様に一気にアイドル回転数が525rpm前後まで低下した。
 通常の車両であればアイドル回転数は500〜600rpmと言 う物もあるのだが、RB26DETTのセッティング上ではこの回 転域では非常に辛く、実際に体験してみるとわかるが安定はしてい るものの、この回転域では低い異常振動とも言うべき振動が発生す る。
 その為にこの様な回転は長く続けない様にし、AACバルブ停止 後は速やかにアイドル回転数の調整を完了し、規定値である900 rpmにする方が無難だろう。
 ちなみに左図がAACバルブの制御は停止せずにAACバルブの コネクターを取り外してみた際のAACバルブ快弁率で、ECUが アイドル回転数に達しない為にAACバルブを77%まで開いてア イドル回転数を上げ様としているのがわかるだろう。
 コネクターを抜いただけでも同じ様になるのだが、今後の調整の し易さからもエンジン回転数が詳細に表示された方が便利な為に、 今回の様にDataScanソフトが無くてもできれば回転計等が あれば便利であろう。
 アイドリングの回転を調整する為にはAACバルブの前で、進行 方向側にある左図の様なアイドル調整用スクリューを回転させて調 整する様にする。
 調整には多少大きめなプラスドライバーを使用し、右図の様にヒ ューズボックスとサージタンクの間からドライバーを挿し込んで作 業する様にする。
 このアイドリング調整用スクリューはAACバルブの動作を停止 した時のみ有効で、通常のECUがアイドリング回転数を制御して いる際にはここで回転数を変更してもすぐにECUのアイドル回転 数設定ボリュームで設定されている950rpmに戻され、この様 な調整を行うと始動時等のAACバルブ未制御期間の不具合として 現れる為に注意して調整する様にする。
 回転数の調整は左上図の様に左回しで回転が上がる為に、通常の 音声ボリューム等の様に右回しで大きくなる物とは逆になっている 為に、更に回転を低くしてエンジンに負担をかけない様に注意して 作業する。
 そしてRB26DETTの規定値である900rpmに設定する が、こちらも回転の安定はしない事から900±50rpm位で調 整するとよいだろう。
 しかし、AACバルブを動作させアイドル回転数制御をECUに 移した際には規定値が950rpmの為に、その950rpmより は低い回転数に設定する事が望ましいだろうが、今回のGT−Rを 調整してみた感じでは900±30rpm以内には収まる感じがし た為に、あくまでもバラつき表示を考慮して900rpmで調整す れば問題ないだろう。
 そしてAACバルブOFFの状態でのアイドリング回転数が設定 し終えたならば、再度アクティブテスト画面右側にある右上図の様 なベースアイドル調整項目にある【STOP】ボタンをマウスでク リックし、停止していたAACバルブの動作を回復させる様にする 。

◆アイドル回転数の確認(AAC Valve ON)
 AACバルブの動作を復活させると、右図の様に快弁率がゼロで あった表示が20〜30%付近となり、ECUのアイドル制御に移 った事がわかるだろう。
 そしてECUユニットにあるアイドル回転数設定ボリュームで設 定された規定値である950±50rpmに落ち着くだろう。
 しかしAACバルブを動作させたアイドリング回転数が規定値を 大きく外れる場合には、ECUのアイドリング調整用ボリュームを 回し、アイドリング回転数を再調整する必要があるだろう。
 ECUが制御しているアイドリング回転数を変更したい場合には 、左右の図にある様にECU側面にあるボリュームを調整する必要 がある。
 このボリュームは図の様にECUのケースに丸い穴が開けられ、 その部分には注意書きが書かれた透明なシールが貼り付けられてい る。
 調整する際にはこのシールを必要な部分だけ捲り、精密ドライバ ーのプラスを挿し込みアイドル回転数を合わせる様にする。
 この様にアイドル回転数の調整ではAACバルブがOFFの時の 基準値と、AACバルブがONのECUが制御している時の両方を 調整・確認する必要がある。


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