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過給圧コントロールユニット(EVC)
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◆HKS EVC
evc-kit.jpg  一般的にはエンジン出力を上げる目的で利用されているEVCであるが、本来は正確な過給圧制御を行わせエンジンレスポンスを良くし、トラブルを防ぐ役割で利用して頂きたい。
 ターボエンジンの場合は、エンジンの排気ガスによりタービンを回しこの回転を利用して吸入空気を押し込む様になっている。
 当然の事ながら、エンジン回転は500回転/分から8000回転/分の広範囲に渡っている為にタービンの回転も様々に変わり当然押し込まれる空気の量も変わってくる。
turbin1.jpg  その為に必要以上の空気が押し込まれたら排気ガスがタービンに当たらない様に逃す為のメカニカルな作動弁により一定量の押し込み空気が発生する様にしている。
 この作動弁は、左のタービン図のカタツムリ状のタービンの下に取り付けて有る金色の丸い形状のもので、手前の黒いゴムホースから過給された空気が入り、この金色の左奥へと伸びている棒で排気ガスを逃す弁を動作させている。
 ここへ過給圧コントロールバルブを入れる訳だが、このEVCの他に同じ過給圧を変えるメカニカルVVCが有る。
 これは、電子式のコントローラが5〜8万円と高価なのに対して機械式のVVCは1〜3万円で購入できる為に、どうしてもVVCの方が手軽で普及し易い。

◆機械式VVCの取り扱いに注意
 どうしても金額差が大きい為に機械式VVCに手が出でしまう事が多い様であるが、以下の点に注意して頂きたい。
 機械式VVCは、電子式と違いセンサー等を持たない為に圧力が一定にならない事に注意して頂きたい。
 これは、排気ガスを逃す為の弁を動作させるアクチュエータ(左上の金色の丸いゴムホースが付いている物)は、中のバネの力以上の押し込み空気になると弁を開く仕組みになっており、ここのゴムホースの途中にVVCを入れる事で押し込み空気を行きづらくする事で弁を開きにくくし圧力を上げようと言うものです。
 しかし、このアクチュエータに押し込み空気が行きづらくなるだけなので、同じ設定でも負荷が大きいと過給が高くなり負荷が軽いと過給が低いといった現象が発生します。
 これは、たとえば2速で全開時に目的の過給圧に設定したとすると、3速全開だと若干過給圧が設定より上がり過ぎてしまい、更に4速・5速と過給が上がり過ぎてしまいます。
 又、同じギアでも乗せる人数(正確には合計体重)や上りの傾斜角度でも負荷が変わる為に過給圧オーバーの原因になってしまい、危険です。
 かといって、一番負荷がかかる状態で過給圧を設定すると今度は負荷が軽いと軽いほど目的の設定過給圧よりもかなり低くなってしまいレスポンス低下の原因となります。
 その為に過給圧計は絶対必要で、できれば最大値を記録できるピークホールド計が必要な他に希望以上の過給圧になったらアラーム(警報)音や表示の出るものの取付を薦めます。
 しかし、機械式VVC(約1.5万円)とピークホールド過給圧計(約3.5万円)セットで5万円と考えると8万円のEVCを付けた方が設定も簡単でオーバー過給も無い為に、エンジン破損の危険性が無い分割安だと思う。

◆EVC/VVCを取付ける前に・・・注意!
 これらの過給圧コントローラを取り付ける前には以下の点に注意して頂きたい。
 まず過給圧を上げるのであれば、当然押し込む空気の量が多くなる為に必ず燃料の増量を必要とする事を忘れないで頂きたい。
computer.jpg  その為に、コンピューターを対応品に交換するか燃料増量ユニットを追加する必要がある。
 一番簡単なのは、コンピュータをそのまま対応品に交換する方法で、右図に有る様なユニットを交換するが、これだと取付金具のネジ類とコネクターの脱着だけで済み、今まで車両に付いていたコンピュータを下取りに出して燃調関係が変更されているコンピュータを購入すると、安いもので3万円台から10万円前後位で済む。
 又、今まで使用していたコンピュータを下取りに出さない買い取りも出来るが、純正コンピュータが7万円前後の為に、上記下取り金額にそのまま7万円を加算した金額になってしまう。
 今回このGT−Rには、コンピュータでは定評のあるMine's製のコンピュータを搭載している。

 ただ、コンピュータを交換する場合は以下の点に注意して頂きたい。
powerflow.jpg  まず、吸気系ではインタークーラーやブローオフバルブは問題無いが右図の様なファンネル効果のあるエアクリーナを使用している場合は標準仕様と異なってくる。
 当然の事ながら、タービンその物を交換している場合は絶対に標準仕様のままではダメで、この場合は交換したタービンによっては燃料ポンプやフューエルレギュレータやインジェクターまで交換する必要が出てくるので注意して頂きたい。
 その他に、触媒を外したりストレートマフラーなど場合によってはコンピュータデータの変更を必要とする場合がある為に購入前には確認が必要である。
 又、コンピュータを購入後の仕様変更に対しては約5万円前後でデータを書き換えてもらえるが、予め使用を決めてまとめて購入した方がよい。

fcon-v.jpg  もう一つの方法は燃料増量ユニットを追加する方法で、左図に有る様なユニットを純正コンピュータと車両ハーネス(配線)の間に専用ケーブルで中継して利用する方法である。
 左図はHKS製のF−CON・Vであるが、従来のF−CONが燃調だけの補正であったのに対してこのF−CON・Vは点火時期もコントロールできるようになった。
 しかし、まだ対応車種が少ない為に販売店に問い合わせてみる必要がある。
 価格は本体が10万円で車種別ハーネスが1.5万円〜3.8万円と別々になっている事に注意して頂きたい。
gcc2.jpg  又、このF−CON・Vに右図の様なGCC2と呼ばれる物を追加すると、エンジン回転数が500回転/分から1500回転刻みで6ポイントの燃料増量・減量が手動で調整できる様になる。
 その為に、各ユーザーが走行条件や気象条件などで好みに設定できる様になり、価格はGCC2本体が4.5万円となっている。


◆EVCの取付方法について
 まず取り付ける前に付属のホースが短い為に、アクチュエータ側に使用するΦ6のホースをもう1m追加して購入する必要がある。
 この際に、純正のホースバンドが使いづらい為にいつも『ツインターボ車用ホースセット』¥3000を購入して利用している。

 GT−Rはツインターボであるが、一般的なツインターボに取り付ける方法では取り付けない事に注意して頂きたい。
 これは日産ターボ車だけでなく最近では他社にも純正で過給圧コントロールバルブが付いている為で、これが付いたままEVC等を付けてしまうと、せっかく目的の過給圧を保とうとしているのに負荷が小さくなった事を純正コンピュータが検出するとこの純正の過給圧コントロールバルブが動作し、EVC以外にも過給圧を制御してしまうバルブが有るとEVCも圧を一定にしようと動作し必要以上の動作をさせる事になる為に圧の以上低下や跳ね上りなどの現象にもなりかねない。

 その為にもこの純正の過給圧コントロールバルブを抜いた配管にする方が良いと思われる。
turbin2.jpg  又、GT−Rの場合はタービンのアクチュエータ側でツインターボの配管を行うには、エアクリーナや吸気側配管を全て外して右図の様なタービンが見える状態まで分解しないと配管が出来ない為に大変な作業になってしまうからだ。
evc-valve.jpg  そこで、左図の様に運転席側のタイヤハウスに有る純正のネジ穴を利用してEVCのコントロールアクチュエータを取り付ける。
 図では見づらい位置にあるが、写真左上に有るのが純正過給圧コントロールバルブでその下の四角いユニットがヘッドライトコントロールの外付けユニットで、EVCのアクチュエータは更にこの下にある。

pipe1.jpg  配管は、右配管図の茶色のゴムホースをサージタンク下部より外し、外したゴムホースにはゴミが入らない様にメクラをつけてふさぐ。
 そしてサージタンク側にはEVC用の新しいホースをホースバンドと共に取り付けておく。
pipe2.jpg  又、右図で緑色のホースだが、左図にあるホース右上にあるクランプ文字のある部分のタービンアクチュエータ側に接続されているホースをタービン側に行くゴムホース側を取り外し、この外したホースもメクラを付けてふさいでおく。
 そして、タービン側に行く金属パイプには追加購入したゴムホースをホースバンドを使用して取り付けておく。
 あとはこの2本のホースをEVCのアクチュエータに取り付ければ終わりなのだが、これらの取付は方向が有る為に十分注意する。
guide1.jpg  配管の方向性は、アクチュエータの右側に細い配管が来る様にして見て、一番左がサージタンクから来ているホースを接続し、真ん中にはタービンのアクチュエータから来ているホースを接続する。
 この際に、EVCアクチュエータ付近に左図の様なエアフィルターも一緒に取り付ける必要がある。

fuel-reg.jpg  又、右図に有るバキュームホースはゴムホースの中心で切断してEVC付属のスリーウェイ(三つ又)を使用て右下図の様に分岐し、Φ4のゴムホースでEVCアクチュエータの一番右に有る配管に接続する。
 この際、Φ4のホースにはホースバンドが無い為に右下図の様に、ホースのつなぎ目には全てインシュロックタイ等で縛っておく様にする。
 これによりホースが外れてしまう危険性が少なくなり、過給圧の上がり過ぎになる原因を排除しておく必要性がある。

f-regu.jpg  あとは、アクセル上部にある純正配線のゴムブッシュを通してEVCコントロール部を取付て電源を配線する。


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