◆音声回路の変更方法を探す
次に音声をコントロールしている回路を除外して、手動のボリュームによる
切り換えを検討する。このテレビの音量調節は音量の大小スイッチにより音量を可変するもので、 問題の破損したICにて制御している。 その回路が右図にあり、IC004の【リモコン選局・表示・出力音量制御】用の ICの20ピンにてコントロールしており、右図の下部にある回路を通して制御して いる。 元々このテレビは電源を入れてからしばらくすると、だんだん音量が上がってきて 2〜3回ほど音量を下げる必要があった。 この音量出力端子はQ007のエミッターを制御しており、この回路で音量が変動 してしまっていると思われる。 右図を見てもわかる様に、Q008のエミッターには0.4Vから11Vを指定 する事により音量を調節している。 その為にこの部分に12Vまでの電圧を可変する事で音量を変える様にすれば 音量調節として利用できるようになるだろう。
そのコントロール信号の行き先が左図のIC2101で【音量・音質・バランス】
用のICで、回路図の下側から信号が接続されている。ここで使用されているICの内部ブロック図を見ると、高音・低音調節にバランス 等が全て150Ωの抵抗を通し、右下図にあるフロントパネルのボリューム回路に 接続されている事がわかる。 しかし今回改造を必要とする音量調節用の端子を見ても150Ωの抵抗があり、 他の部分の調節方法と同じ様にすれば動作するものと思われる。 幸いにも1つの電圧入力で左右のチャンネルが同時に調節できる様で、わざわざ 2連ボリュームなどを使用しなくても済むようである。 その為に他の端子同様に音声も普通のボリュームを取り付けて配線してやれば 手動式の音量調節ができる様になるハズで、あとはボリュームの取り付け位置の 問題だけであるが、できれば正面に取り付けないと利用しづらくなる。
どこかに穴を開けてボリュームを取り付けるのも良いが、いくら改造すると
いってもあちこち目立つ所にボコボコと部品を取り付けるのもあまりいいものでは
ないだろう。そこで右図のフロントパネルにあるボリュームの一部回路を見てみると、あまり 使わないボリュームもあり高音と低音も一度決めるとあまり必要ないと思うが、 取り外した後に固定抵抗で好みの音質に調節する必要があり、その好みの音質に合う 抵抗の値を探す手間がある。 しかし、バランスも調節する事は無いボリュームの一つで、ここはボリュームの センター位置で固定して利用している事から、同じ値の抵抗を2つ用意して取り付け るだけの為に簡単に処理できるだろう。 ◆音量ボリューム追加の改造
上記検討により音量調節用のボリュームとしてバランスボリュームを利用する為に
ボリュームを外した後の回路の処理を行う。バランスボリュームはボリュームの根元からパターンをカットしてしまい、回路から 完全に分離してしまう様にする。 そして右図の様にボリュームの根元から線材を引き出し、ボリュームの絞った方を GNDに接続し右いっぱいに回した方を+12Vに接続し、そしてボリュームの中心 の端子を音量調節用のICである12ピンから出ている150オームの後に接続する。 この場合に回路図にある端子である【B3−3】の端子を利用すると良いだろう。
そして従来の回路からボリュームを切り離した部分には、取り付けてあったボリュ
ームの10KΩを半分にした5KΩを2つ用意する。今回は手元に多い4.7KΩを2つ用意し、ボリュームの中心電極から両端の電極 にそれぞれ4.7KΩを取り付けて、丁度ボリュームが取り付けてあった時に中心 位置に回した状態と同じ様に作り出す。 この方法によりボリュームを利用してみた所、音量調節は可能であったがあまりにも シビアで、ボリューム位置にして9時方向前後で音量がかなり大きくなり調節しづらか った。 あまり回さないでも音量が大きくなるのであればボリュームに供給する電圧を下げ、 音量調節用のICにかかる最大電圧を変えてやればいいわけで、低電圧化されている 電圧は12Vと5Vだけなので5Vを利用する様に配線を変更する。 実際に利用してみた所、この5Vを利用した方が調整がやり易く、ちょっと回すと すぐに音量が大きくならずに済んだ。 これらの改造により、左上図にあるフロントのパネル内バランスボリュームを利用 する事で音量調節ができ、穴を開けてボリュームを取り付ける事無く済んだ。 メインに戻る 修理・分解選択メニューに戻る TH28-D55GR選択メニューに戻る
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