◆今回の故障内容 ある日突然・・・ テレビの故障として画面が縦に小さくなったり、明るさがとれずに暗くなる等の 現象はよく見るが、今回の様に突然電源が入らなくなるケースはあまり身近に起こ った事がなかった。 主電源を入れてテレビ本体の電源スイッチでも、またリモコンの電源スイッチ のどちらからも操作できなくなってしまっていた。 まぁ、電源回路がトランスレスで直接100Vを利用している為に、電圧調節用の 半固定抵抗器の湿気による接触不良で過電圧でもかかってしまい故障したものと 思っていた。 ここ数年では29インチテレビも4〜5万円で買える事から買い直した方が早い と思われたが、どうしてもデザインが気に入らなく枠が大きくシルバー色しかない 為に画面がどうしても小さく見えてしまう。 そんな事もあり買うのをためらっていたが、やはりビデオを撮るにもモニターが 無いと何もできない為に直せるかどうか試してみた。 この年代のテレビには幸いにも取扱説明書に回路図が添付していた為に、わざわざ メーカーのサービスステーションに出向かなくともよかった。 そして回路図を見るとトランスレスかと思っていた電源回路だが、制御系の電源 にはちゃんとトランスが使われていた。 その為にやはり電源リレー周辺からの電圧チェックを試してみて、どこまで利用 できるか試してみる事になった。 ◆故障個所の特定 まず電源回路から見てみると右図の右側に【主電源】があり、このスイッチを 入れるとスタンバイ状態になり各ICやブラウン管ヒーターの余熱などを行う。 このスイッチを入れてから電源スイッチを入れるのだが、全く動作しない事から 右図の下側にある【電源リレー】が入らないものと思われる。 調べてみるとやはりこの【電源リレー】が動作しないために電源が入らない事が わかり、とりあえずこのリレーを駆動している部分を調べる事になる。 回路図を追っていくと左図にあるトランジスター2つのうち、下側にある【電源 リレー出力】用のトランジスターで駆動されている事がわかる。 そのトランジスターは左側にあるICで【リモコン選局・表示・出力・音量制御 (マイコン)】とあるICによりコントロールされている。 まずはこのICの出力端子の電圧を確認しながら電源スイッチを入れるが、まっ たく出力が出る気配が無くトランジスター破損以前の問題であった。 そしてこのICの電源電圧などを測ってみると全て正常に電圧が印加されており、 このICの先に接続されているキーボードからの信号もしっかり供給される事から 左図の操作系のICが破損したものと思われた。 とりあえず電源だけでも入る様に改造し、チャンネルやボリュームに入力切り換え 等ができるかどうかを試してみて、もしも電源が入らないだけであれば簡単な修理 で済んでしまう。 ◆スイッチの追加と改造 とりあえず上記の【電源リレー出力】トランジスターが一般的なオープンコレクター として利用されているだけの為に、ここのコレクターとエミッター間に右図の様な トグルスイッチを追加して電源スイッチとして利用している。 このスイッチの追加方法だが、リレーの出力をスイッチで通電させても同じ事だが、 スイッチの電流容量の問題やディフィートと呼ばれる音声関係のノイズ防止ミュー ティング回路用の信号などにもこのトランジスターの出力が利用されている為に、 この場合はトランジスターが動作する時と同じ方法でスイッチィングさせた方が 良いだろう。 とりあえずこれで電源を入れてみると電源は入った様だが、操作パネルを操作しても チャンネルや入力切り換えにボリュームとみごとに動作しなかった。 その為に操作系のICが全く動作しなくなってしまっている事がわかる。 この事から、とりあえず入力切り換えを改造し後付けのスイッチによりビデオ入力に だけでも切り換えられる様にし、映像だけでも移る様にするのを次のステップとする。 メインに戻る 修理・分解選択メニューに戻る TH28-D55GR選択メニューに戻る |