◆建築後の配線について 家を建築前や途中でもあれば自由に器具の取付や配線作業も行な えるのだが、既に建築後で電話やLANのケーブルを配線するのは 不可能に近い物がある。 最近ではかなり多くなったハウジングメーカーのパネル工法等で は、壁になる部分が予め完成品として工場から出荷されるらしく、 内部構造は不明なのだが補強が多く入れられている為か後からの配 線は不可能な話しも有る。 この辺はハウジングメーカーの方に問い合わせてもらい、どうし ても不可能な場合は壁の表に面する角にでもはわすしかないだろう 。 しかし線材が見える部分に配線するというのは非常に見栄えが悪 く、線材だけでなく線材を固定する物を貼りつけたり打ち付けたり と見栄えだけでなく数多くの穴やキズを付けてしまう事にもなる。 以前エアコンを後付けしたが、廊下を挟んだ客間だった為に配管 類が廊下の天井に出てしまうと言われたがそんな取付方は許せる物 でなく、廊下側の壁をはぎ取り配管を行ない壁を貼り直してその周 辺のクロスも貼り替え家の補修代だけで何十万とかかってしまった が、やはりそれだけの価値はあった。 これらの工事関係は施工する業者によりまちまちで、色々な面で 工夫してくれる人やとにかく簡単に見栄えを気にせずあちこちに線 材を打ち付け済ませるだけの人等がいる為に、事前にある程度自分 で調査しどこにどんな風に配線するかの構想をしておき、できれば 専門の業者に来てもらい事前の打ち合わせをしておくと良い。 せっかく工事代を支払って配線してもらう為に、業者任せでも良 いが後で後悔しても遅い為に施工前には十分検討して構想を立てて おく様にする。 ここでは一般木造住宅で建築が完了後の2階と1階への配線作業 を参考までに載せておくが、業者による工法の違いや間取りによる 違いなどがある為に、ほかの家でも同じ方法でできない場合がある 。 その為に検討材料としてだけ利用し、実際にはその家を建てた建 築業者から詳細を聞き、電話・電気の配線業者に実際の検討を依頼 して頂きたい。 ◆建築後の配線・器具追加方法 一般的に建築後の器具や配線の追加・変更は業者によってもまち まちだが、基本的に不可能に近い物がある。 作業し易い部分であれば別だが、あまり床下や天井裏には入りた がらないのが現状の様であり、無理してお願いしてみるか工事して もらえそうな業者を探すしかない。 しかし業者によってはしっかり工事してくれる所もあるが、工事 を依頼する時にも冬の床下は非常に寒く夏場の天井裏は考えられな いほど暑い為に、依頼する場合も季節を考えて依頼して頂きたい。 だいたい季節としては3月末〜5月中旬と10月中旬〜11月末 くらいが丁度良い時期ではないかと思うが、これも施工業者に相談 してみると良い。 これは参考にならないかも知れないが、作業し易い期間を選んで 作業してもらわないと工数がかかったり簡素化されたりする可能性 が無いともいえない。 通常の屋内配線では天井方向から壁を落としてきて器具に配線す るのが一般的だが、屋根裏に入れたとしても建築後の壁に線材を通 すのは不可能ではないが、壁の中間には隙間があるが両側の壁部分 の裏に横に板が張り巡らされていて、線材をほんとに真っ直ぐに降 ろさないと引っ掛かって下まで落とせない。 また業者によっては断熱材等を入れたり、ウレタン系の発泡剤を 入れたりと線材を通す余裕の無い物もある。 その為に上から降ろすのではなく床下から立ち上げる方法を利用 すると比較的簡単に線材を通す事ができる為に、1階部分で床下に 入れるのであればこの方法で検討してみるとよい。 しかし2階の場合は1階の屋根裏にでも入れれば同じ方法ででき るが、総二階建ての場合には1階の屋根裏というスペースが無くな ってしまい、基本的に不可能となるが1階の部分に押し入れやクロ ーゼット等があればその部分の天井を切り取ってみて調査する事も 可能だが、それで2階の器具取付部分まで線材が引き出せるかどう かは別である。 その為に運良く2階のコンセントやアンテナの器具が付いている 近辺で、その真下にある部屋でこの器具のある部分の真下が押し入 れやクローゼットであれば、配線を通せる可能性がかなり高くなる 為に、実際に天井を切り取って見てみると良い。 どうしても線材を通す部分が無い場合は壁伝いに線材をはわすし かなくなるが、当然廊下や階段と壁の角を通す事となる訳だがその まま打ち付けたのでは見栄えが良くない。 その為に多少遠回りになっても壁の角をはわせ右図に有るような 化粧板が販売されている為に、これらを購入し壁と壁の面は45度 くらいに削り落とし線材を通せる様にして壁に取付けてしまうと線 材が見えなくなる。 しかし横方向に使用するのは良いが縦方向にも使用するかどうか はお任せする。 当然どの部屋にも押し入れやクローゼットが有ると思うが、廊下 や階段伝いに線材を持ってきてその裏側の部屋に押し入れやクロー ゼットが有ったならば、線材を通す穴を開けてしまいそこから線材 を通してしまう。 穴の開いた部分は右図の化粧板で隠れる位にしておけば何の問題 も無い。 但し化粧板はその廊下か階段部分の全てに貼り付けないと見栄え が悪く、その広さによっては結構材料代がかかってしまう恐れが有 る。 また1階の押し入れやクローゼットの天井から2階の部屋に線材 を通す場合は、押し入れやクローゼットの天井を切り取っておき線 材を通す部分を検討しておき、2階の壁に近い床に穴を開けてしま い1階の押し入れかクローゼットの天井裏に穴が開くようにする。 そして線材を通した後には左図の様な天井用よりは幅の広い化粧 板が販売されている為にこれを部屋の床下に貼ればわからなくなる が、当然の事ながら線材が通る部分には予め溝を付けておく必要が 有る。 更に壁にスイッチボックスを取付けて器具を取付けた所までの配 線は、床に穴を開けて1階から線材を通した近辺の壁側にも多少大 きな穴を開けてしまう。 そしてスイッチボックスを取り付ける前に借りの線材や針金など を壁に穴を開けた部分にめがけて降ろしていけばその線材や針金が 見えてくる。 その線材や針金を穴を開けた部分から引き出し床から出ている線 材に結びつけ、スイッチボックスの穴側から引き出せば線材が通せ る様になる。 これらの穴も左上図の化粧板を貼り付ける事により隠れてしまう ので見栄え良く奇麗に線材を通せる様になる。 ◆押し入れの壁を切り取る 今回線材を通した押し入れは右図の様に、壁面には薄いベニヤ板 が貼られていてその周辺には角材が取付けられてベニヤ板の角が見 えない様になっていた。 押し入れやクローゼットの壁には石膏ボード風の物を使用してい る場合が有り、この場合は取外し中に破損してしまう場合もある。 その際には同じ様なボードがホームセンターや建材店で販売され ている為に、新しい物を購入してきて同じ寸法に切り取り取り付け てしまう様にする。 このベニヤ板は途中数箇所が釘で固定されているが、ここを外し ただけでは周囲の角材も取り外さないと外れて来ない。 角材まで取り外してしまえば一番良いが、結構大変な作業となる 為に左図の様にして角材の上面からベニヤ板をカッターにより切り 取ってしまう様にする。 切り取る場合は角材の真上で切り取る様にし、4角共に切り取っ てしまう様にする。 ここを切り取った物を元に戻してしまえば切り取った後が全くわ からず、わざわざ角材を外すまででない事がわかる。 切り取る際には無理して1回で切り取らず、2〜3回切り取ると かなり深く迄切り取れ無理して力を入れると真っ直ぐ切れず斜めに 曲がったりしてしまう為に注意して作業する様にする。 ベニヤ板の4方を切り取ったらその周辺を一通り指で軽く押して みて、ベニヤ板が確実にへこんで切り取られているかどうかを十分 確認しておく必要が有る。 まだ十分に切り取られていない部分が有った場合は再度カッター で切り取っておく様にするが、切り取りがまだ不十分だとベニヤ板 をはがす時にまだ切り取られていない部分から割れてしまい手に刺 さったり再利用する際にも危険な為に注意して確認する。 ベニヤ板の周囲が切り取られた事を確認したら、右図の様にして ベニヤ板を固定している釘を抜く様にするが、なるべく抜く際にベ ニヤ板にキズやへこみが付かない様な物で抜いた方が良い。 バール等のくぎ抜機はバール本体が大きく太い為に釘の頭を出す 際にかなり周辺にへこみができてしまう為に、右図では先の鋭いニ ッパーを使用している。 但し先の柔らかい材質の物ではニッパーの先が折れたり曲がった りする為に、別に購入しておくか別の工具を使用した方が良い。 ベニヤ板を固定していた釘を抜き取ったら、ベニヤ板を切り取っ た周辺部分に細いマイナスドライバーを差込んで手前に持ち上げる 様にするとベニヤ板か外れてくる。 ベニヤ板が外れると壁の内部は左図の様になっている。 左図からもわかる様に押し入れは上段と下段の2つに別れている が、もともとここに取り付けられていたベニヤ板は1枚物であった が、左図の棚部分に敷きられている為に1枚のままでは取り出す事 ができず、上段と下段部分の2枚に別けてベニヤ板を切り取ってい る。 この部分は隣にも押し入れの様な物を入れるスペースとなってい るが、右図の様に壁の中はほとんどスペースが無く、途中にある横 木の為に線材を上から落としただけでは安易に線材が下まで届かな い事がわかるだろう。 右側に見える灰色のケーブルがコンセント用のケーブルで、実際 にケーブルを通せるスペースとしては横木の上から縦に板を張って ある板厚分しかない為に、あまり太い線材や多くの線材を束ねて太 くなってしまうとベニヤ板が取り付けられなくなる為に、線材の太 さが縦板の厚さより厚くならない様に十分注意する。 他の部分の壁の中も同様の構造となっているのであれば、壁自体 をはがさないで線材を通すのは不可能であろう。 ◆壁の中に線材を通す 線材は途中でつなぎ直す事を避けたい為に長めに線材を用意する が、通常は箱単位で購入した方が安価で良いが右図の様に予めケー ブル長が決まっている市販品を利用する事もできる。 線材は長さによりパッケージされている物が有り、右図の一番右 側に有る青い袋の上にあるのがLAN用のケーブルで50mが2組 でこれは1階と2階を接続する為の物で、この他に20m巻きを2 階の部屋同士で接続して使用する物もあるが右図には載っていない 。 右図左手前にあるのが30m巻きの電話線で、上側にあるのが1 0mや20m巻きの製品を多数用意している。 その中間にあるのは電話用のRJ−11やLAN用のRJ−45 のモジュラジャックを用意し、実際に機器と接続するケーブルも必 要に応じで作ってしまう。 これらケーブルを全てほどいて2階部分のPCに一括集中して器 具が取り付けてある部分までにケーブルを先に配線し、こちら側か ら固定していく事で1階部分のまちまちの長さを決めるようにした 方が配線が楽である。 その為に押し入れの壁を切り取った部分で、左図の様に下段の方 から電話6本とLAN2本を束ねて先端をインシュロックタイ等で 結束し配線作業中に束にしていた線材が外れてしまい何度も屋根裏 を往復せずに済む様にしておく。 線材は予め左図の押し入れ部分から2階のPC周辺の器具までの 長さを測りそれよりも十分長めに用意しておき、線材はすべて束に なっている物をほどいておきからまない様に延ばし切っておく必要 が有る。 ここでは線材を縁側の廊下を利用して3部屋に渡って線材を延ば しているが、線材を延ばし切るスペースが無い場合は部屋内にお互 いのケーブルを離してなるべく大きな円を描く様にほどいておく。 何れにしても作業はケーブルを通す引く側と、ケーブルを送り出 す2人で作業を進めた方が線材がからんだ時に屋根裏から戻って来 なければならなくなる為に1人で行なうよりは2人の方が効率が良 いだろう。 この押し入れの天井部分は右図の様になっており、予め屋根裏に 出入りできる様に大き目の板がスライドできるようになっており、 この部分を利用して線材を引き込み屋根裏伝いに配線する。 線材を屋根裏に運ぶ場合は少しづつ引き込むのではなく、予め器 具までの必要な長さを決めておきそこまでの長さを一気に引き上げ てしまう。 引き上げ方法は一旦押し入れの天井裏に必要ケーブル長を全て引 き上げてしまい、次に天井裏で部屋の角で曲がる部分で更にケーブ ルを全て引き寄せて、曲がった部分で引っ掛かり何度も屋根裏を往 復しなくても良い様にする。 そしてケーブルが器具まで届いたら、逆に今度は器具側から線材 を結束しながら固定していけば作業がスムーズに進む様になる。 押し入れの切り取った部分のケーブルは左図の様にインシュロッ クタイ等を利用して結束しておき、丁度左図で横木の部分当たりに はケーブルクランプ等を用いて固定して線材が動かない様にしてお く。 また当然であるが左図の様にAC100Vの電源ケーブルとは別 の部分に通す様にし更にLANケーブルも別の位置に通す様にする 。 この部分は縦方向に張られた板厚しか線材を通すスペースが無い 為に、ケーブル類を結束してみて板厚よりも厚くなってしまうよう な場合は結束方法を色々と変えてみる必要が有る。 2階のPC周辺の器具から長さを合わせ固定してきたら、この押 し入れの床下に残りのケーブルを全て押し込んで落としてやる様に する。 床下には押し入れの壁を外した下の部分から、横柱の上側で裏側 の壁に相当するベニヤ板を切り取った部分の隙間から床下に線材を 落とす事ができる。 この辺の構造も実際に確かめてみるしかないが、ほとんどの場合 は床下に抜ける様になっている為にドライバー等を差し込んでみて 調べるとすぐわかる。 また床下に線材を落とす位置として、なるべく壁の角でなく平ら な部分から通さないと壁の角には柱がある場合が多く、この位置で は線材を通す事はできないだろう。 残りの線材を全て床下に落とし終わったら、切り取った壁のベニ ヤ板を元に戻す様にはめ込み、このベニヤ板を固定してあった釘を そのまま利用し打ち込んであった元の位置に打ち込み直す様にする 。 新しい釘を利用し別の位置に打ち込んでも良いが、薄いベニヤ板 を固定しているだけで何度も抜き差ししているわけでないので十分 固定でき、新たに釘を打つと以前釘を抜いた部分の穴が残ってしま う為に見栄えが良くない。 その他に右図の様に縦方向に取り付けられている板に釘をうまく 打ちつけられれば良いが、万が一ケーブルの上から釘を打ってしま うと線材が断線する可能性が有り、せっかく配線した線材を取り外 し張り直す必要が出てしまってからでは遅い為に、元の釘穴で固定 した方が良いだろう。 ◆取り付けられた器具の壁裏 参考までに実際の器具を取り付けてある部分の壁裏から見た図を 載せておくが、右図はPC周辺に設置したACコンセントとLAN 3系統と電話6系統に局線の配線の様子を壁の裏側から見た図であ る。 実際は右図の上の方にある断熱材で覆われているが、撮影の為に 上の方に捲り上げてあり一番下にある横柱の位置まで断熱材で覆わ れている。 右図で左側に有るスイッチボックスがACコンセントとLAN用 で、右側で斜めに取り付けられた柱で隠れているスイッチボックス が電話用として使用している。 スイッチボックス自体は左図の様に柱に取り付けてあり、その柱 部分にAC100V用のケーブルが固定されている為に、器具の配 置も柱寄りにコンセントが設置される様にする。 線材類は左図の様に下側から出す様にし、あまり特別な理由でも ない限りは上側から通さない方がく、上側から通すとスイッチボッ クスの穴で器具の出し入れの際に線材を擦ってしまい傷が付き易く 、取りつけた後でも線材の自重で折り曲がったままになってしまう 為に下側より線材を通す様にする。 屋根裏での線材はむやみに引き回さず、しっかりと柱にケーブル クランプ材を使用して右図の様に固定しておく様にする。 ケーブルを固定する際には打ち付けて固定するステップルの様な 物では線材をつぶしてしまう可能性が有る為に、右図の様なケーブ ルを束にしてネジで固定できる物が最適で、ケーブルを束にした時 の大きさよりも多少大き目か丁度のサイズを選択すると良い。 ここでも当然だがACラインとは別々に結束し、できれば電話と LAN等もわけて配線した方が良いだろう。 今回はISDN設置工事の日程が決まっており、それまでに配線 作業を終了しなければならず材料を取り寄せるのを忘れていた為に 使用しなかったが、屋内配線にはフレキチューブを使用して配線し 、このフレキチューブのまま固定しておいた方が良い。 松下電工では『パナフレキ』と言う名称で販売されているが、2 0〜30mでも定価が1万円せず線材保護の為にも良く、1階の床 下では湿気と2階の屋根裏では夏場の高温にさらされる事を考える と是非使用しておきたい材料である。 メインに戻る ⇒ 修理・分解に戻る ⇒ 屋内配線に戻る |