ハブの取り外しと新旧ハブ比較 ◆スライディングハンマーの取り付け 右図にあるものがスライディングハンマーとハブ用アダプターで、 リアのハブを取り外す際には必要なかったがフロントでは必ず必要に なる為に予め用意しておくと良いだろう。 この工具が無いとハブのベアリング部分にどうしても斜めからの力 が加わってしまい、真っ直ぐ抜かないとなかなか上手く引き抜けず、 最悪の場合にはかじってしまう様な感じになる。 今回はスズキのSSTを用意したが、KTC等の工具メーカーでも 扱っている様であるが多少価格が高かった為に純正品にしたが、KT Cも会社関係の商社を利用すると40〜50%OFFとなる場合があ る為にどちらが安いか比べてみて、汎用性等も考慮した上で決めると 良いだろう。 まずはスライディングハンマーを使用する為に左図にある様なハブ アダプターを取り付ける様にする。 こちらはセルボモードのサービスマニュアルにあった品番で購入し たが、既に廃品になっており代替品で来たのが全く形状が同じ右図に ある物である。 これはよく見るとアダプターのハブボルトをセットするネジ穴が長 穴になっており、中古で購入したHA21Sのフロントハブとセルボ モードのハブに取り付けてみるとPCD100〜114.3までの兼 用タイプである事がわかり、かえってこの方がのちのちまで使えてよ かった様である。 このアダプターを左図の様にハブボルトにセットしホイールナット 等で固定するが、特にホイールナットは右図の様にテーパー形状にな っている為にアダプターの長穴部分に負担がかかる。 その為に左図の様に予め平ワッシャーを用意しておき、ホイールナ ット等を取り付ける前に入れておくと良いだろう。 できればホイールナットではなく普通のナットを使用した方が当た り面が広い為に良いが、このハブボルトのねじ山が通常のISOネジ とは違う様で入らなかった。 しかし、面白い事にフロントナックルにダンパー下部を固定してい るボルトで使用しているナットがピッタリサイズで、もしもどうして も丁度良いナットが見つからない場合にはダンパー取り付けボルト用 のナットを購入しても良いだろう。 このアダプタにはスライドハンマーで衝撃を与えて取り外す様な感 じになる為に、ナットが緩んでいるとハブボルト上でアダプターがガ シャガシャ遊びハブボルトのねじ山が破損する可能性がある。 その為に右図の様にレンチを使用してある程度しっかりと締め付け ておく様にし、締め付けの際にフロントハブがクルクル回ってしまう 場合にはブレーキを踏んでもらうか、ギヤを1速やバックに入れてお きある程度しっかりと締め付ける様にする。 ◆ハブの引き抜き いよいよスライディングハンマーを使用してハブを抜き取るが、ス ライディングハンマーのフック部分をアダプタのフックに引っ掛けて 、右図の左手で持っているスライド部分を右手の部分に勢いを付けて 当てる事でハブに引き抜き方向の衝撃を与える様になっている。 この動作を何度となく繰り返してハブ自体に衝撃振動を与えていき 、少しずつハブを抜き取る事ができる様になる。 このスライディングハンマーを使用する事で、ハブに衝撃振動を与 えていると同時にハブベアリング自体にも衝撃を与えている事になる 為に注意して作業する。 これはベアリングの通常使用の転がりに対して横方向荷重になる為 に、あまり強い力を加えてしまうとハブベアリングに多大な荷重がか かり再利用不可状態になってしまう。 その為になるべく振動は小さい方が良いが、それではなかなか外れ てこないどころか抜けて来ない可能性もある為に、ハブ中心から出て いるドライブシャフトのネジ溝を目安に、1度の衝撃で1mm前後の 引き抜きが適当かと思われる。 また同じ部分で何度も衝撃を与えるよりも、気になるならば衝撃を 与える度にハブを少しずつ回して、ベアリングの横方向荷重のかかる 部分を変えていくと言う手もある。 もしも最悪の場合には組み付け後の走行でゴロゴロとタイヤのブロ ックノイズっぽい音がする可能性もあり、最初はほとんど聞こえなく とも少しずつ大きくなって来る可能性もある。 リアのハブが軽く入った事に対してフロントは結構衝撃的な振動を 与えなければならず、できればリアと同様にすんなり入るぐらいのク リアランスにして欲しいものである。 右上図の様にハブの中央から見えていたドライブシャフトがほとん ど抜け切って見えなくなったら、あとはハブが抜け落ちるだけの為に 左図の様に安全性を考えてコンクリートブロックの上に布を敷き受け 止める様にしておいた方がよいだろう。 本来はドライブシャフトの先端にあるハブナット用のタップ溝がハ ブの落下時にひっかかり破損しない様に片手でしっかり支えておく必 要がある。 もしも今回の様にハブ自体が不要の場合には、そのまま落下させれ ばドライブシャフト先端を破損させずに取り外す事ができるが、万が 一を考えて落下防止策をとった方が良いだろう。 ◆ハブとブレーキローターの比較 左右の図がPCD114.3の頃のハブとブレーキローターであり 、この構造からハブの裏側よりブレーキローターが固定されているの がわかるだろう。 その為に、ブレーキローターを交換する度にハブを引き抜くという 面倒な作業に迫られ、PCD100にする事でこれらの問題が解消す るだけでも便利になる。 更に右図の側面からの図を見ると、ハブボルトがハブとブレーキロ ーターにはさまれた状態になっているのがわかるだろう。 2年前にハブベアリングとスタッドボルトだけ交換すると言った作 業を行ってもらったが、この構造からすごく面倒なお願いをしてしま ったものだとあらためて知った。 そして右図の様なリングスペーサが左図の様にハブのシャフトに入 れられており、PCD114.3特有のものであるがそれもSR系の ターボだけと言うパーツである。 SR系のフロントディスクは13インチだが、普通のフロントディ スクは12インチと違いがある為に、ナックルを共用する為の技なの かどうかは定かでない。 要は、HA21SのPCD100用ハブを取り付けた際に必要なの か不要なのかと言う事である。 これらの事を実物から実測して調べるが、PCD違いで構造が違う 為に左図のデスクロータ面からハブのホイール取り付け面までの距離 を比較してみる。 ここは右図の様にPCD100の際にはブレーキローターのみで比 較でき、ブレーキローターのディスク面から中央のハブの入る出っ張 り部分までの距離を測れば良い。 結果的には構造が違えどやはり同じ寸法となっており、PCD11 4.3からの周辺部品でPCD100として変換しても共用できる様 にしてあるのだろう。 更にPCD100用のハブにディスクローターを固定しておき、そ の際のハブシャフトの出っ張り具合等も確認してみる。 そしてハブのシャフト長も確認してみるが、これは左図の様にPC D114.3側に入っているリングスペーサを入れた状態で行う。 これは、上記で調べたディスクローター面からハブのホイール取り 付け面までの寸法が同じな為に、互換性を持たせているのであれば同 じ寸法になるはずで、もしも合わなかった場合にはリングスペーサを 取り外して再検討する必要がある。 結果的にはPCD114.3のハブシャフトにリングスペーサを入 れた寸法とPCD100用のハブシャフト長が全く同じで、更にその ハブシャフと根元とディスクロータのインナー面との寸法も同じであ る事から、これらは2つとも全く同じ取り付けができる事がわかる。 これでフロント部分も何の問題も無く予定通りに購入した部品をそ のまま組み付けられる事がわかり、後はPCD100用の部品を使用 して組み付けるだけで完了する事になった。 メインに戻る 車両関係に戻る セルボモードメニューに戻る オーバーホールメニューに戻る 第三段メニューに戻る 組込メニューに戻る |