ブレーキパッドの取り付け ◆シムの組み替えとスプリング取り付け ブレーキパッドをブレーキキャリパーに組み付ける前には、左図の 様にアンチノイズシムとパッドスプリングを取り付けておく。 これら2つの部品については、今回社外品のブレーキパッドを使用 した為に同梱されておらず、シムだけは単品販売しているもののスプ リングは別売されていない。 その為にこれらシムとスプリング共に交換する際には、純正ブレー キパッドを購入しないと入手する手段が無い為に、購入の際には注文 時に予め部品販売店等に相談してみるとよいだろう。 今回はシムもバネもこれまで使用していた物を再利用する事にした が、古いブレーキパッドからシムを丁寧にはがし左図の様にシムに付 いた汚れを綺麗に落とす必要がある。 シムにはブレーキパッドグリースが塗られており、これが長年熱せ られ結構硬くこびり付いた状態になっている部分もある。 これらを丁寧に拭き取り、上手く取れない場合にはCRC等を使用 して掃除するが、力を入れ過ぎるとシム自体が破損し易い為に注意し て作業する様にする。 シムを掃除する際には平らで硬い場所で行い、更にシムへキズが付 かない様にする為に薄い布地を敷き、その上でシムが変形して破損し ない様にして作業する。 シムの汚れがある程度綺麗に取り除けたら、右上図の様にしてシム の内側にブレーキパッドグリースを一定厚で塗り付ける。 シムの内側は取り外す前の状態を見てもらうとわかるが、4箇所の 爪が折曲がってブレーキパッドを包む様に取り付ける為に、爪の折曲 がった方が内側になる。 ブレーキパッドグリースは左図の様に、あまり厚過ぎず全体的に均 一に塗り付けるが、あまり多く塗り付けるとはみ出してアルミホイー ル内側に付着したりする為に注意する。 塗り方としてはシムの地肌が見えるか見えないかぐらいの厚さで塗 り、シムの周囲2〜3mmは塗らないでおくと取り付けてブレーキを 数回踏み込むと、丁度シムの外周から若干ブレーキパッドグリースが はみ出してくるぐらいが理想であろう。 もしもはみ出し量が多過ぎると思われる場合には、はみ出した部分 だけでも綺麗に拭き取っておくとよいだろう。 そしてシムにブレーキパッドグリースを塗り付けたら、右上図の様 に随時ブレーキパッドへ取り付けておくと良いだろう。 最後に左図の様にブレーキパッドスプリングを取り付けておくが、 取り付けはブレーキパッドを下側にする方に取り付ける様にする。 また、シムを再利用する際には右上図でもわかる様に、ブレーキピ ストンが当たっていた部分には丸い跡が残っており、このシムはあく までもブレーキピストン側に使用する様にする。 これは、既に変形してしまったものに対しては同じ部分に使った方 がよく、変形した為に今までと反対側に使用すれば良いと思われがち だが、平らな部分に変形した物を入れられた方は落ち着かなくなり、 こう言う考えを持つなら間違いなく新品に交換した方が良い。 スプリングの取り付けは左上図の様に、元々取り付けてあった状態 と同じ様に取り付けておき、リアブレーキのページではスプリングを 最後に取り付けたりスプリングを横にずらし緩めておいた状態にして いたりしたが、その様な処理は全く必要なく普通にスプリングをかけ て取り付けてしまって構わない。 ◆ブレーキピストンの戻し ブレーキピストンはブレーキペダルを踏まないと動かないが、元々 のブレーキパッドを取り付けるのにも隙間が少なく、そのままでブレ ーキパッドをセットするのは大変だろう。 ましてや新しいブレーキパッドを入れるとなると、以前よりも厚く なる為にブレーキピストンを広げてやらないと絶対にブレーキパッド を入れるのは不可能だろう。 このブレーキピストンを戻す作業はかなり硬い為に、よくブレーキ キャリバーを取り付ける前にハンマーの柄等をテコにする方法もある が、ブレーキパッドのみの交換でブレーキキャリパーを毎回外すわけ にもいかないだろう。 また、ブレーキキャリパーを外さないでテコにしてブレーキピスト ンを戻そうとすると、ブレーキローターが邪魔になり無理に広げると ブレーキローターにも負担がかかってしまう。 その為に、今回は左上図の様なブレーキピストンツールとしてKT C製のAB−10を用意して作業したが、このツールを右図の様にブ レーキキャリパーに差し込み、ハンドルを回すだけで簡単にブレーキ ピストンを戻す事ができる様になる。 ここで注意する点としては、ブレーキピストンを戻す際には必ずボ ンネットフードを開けて、ブレーキオイルの量を確認しながら作業す る必要がある。 これは、ブレーキパッドが減っていればその分ブレーキオイルもピ ストン側に行ったままになり減ってくるが、その状態でブレーキピス トンを戻すと一気にブレーキオイルがリザーバタンクに戻ってきて、 最悪の場合にはあふれ出てこぼれてしまう事になる。 その為に、ブレーキパッドが減っていれば減っているほどあふれる 可能性がある事を覚えておき、できればブレーキパッドを戻しながら ブレーキオイルのリザーバタンクを確認しながら作業し、もしもあふ れそうな場合にはスポイト等で吸い取っておく様にする。 ブレーキパッドの取り付け時には余裕があればあっただけ作業が楽 な事により、特に新品のブレーキパッドを使用する際にはブレーキピ ストンをめいっぱい広げておくと良いだろう。 また、古いブレーキパッドを再利用して組み直す場合には、現在よ り多少広げたところで止めておき、ブレーキオイルが噴出さない様に するのも良いだろう。 ◆ブレーキパッドの組み付け ブレーキキャリパーを固定したならば、先にブレーキパッドにシム を組み付けておいた物を組み込むだけである。 シムとブレーキパッドの間にはブレーキパッドグリースを塗布した が、作業者によってはシムの外側でブレーキキャリパーやブレーキピ ストンと当たる側にもブレーキパッドグリースを塗る場合がある様で ある。 しかし、こちら側は当たる部分も少ない為にタレ流れ易く、逆にブ レーキロータやブレーキパッド自体に付着してしまい、ブレーキ制動 に影響が出る可能性がある為に、今回は塗布しないで組み付けている 。 元々、サービスマニュアルではブレーキパッドとの間にもブレーキ パッドグリースを塗る指示は無く、実際に他の車を見た場合にも塗ら れていない物もある様である。 まずはブレーキピストン側からブレーキパッドをセットする為に、 左図の様にブレーキキャリパー全体を車体側に押してブレーキピスト ン側のスペースを広くする。 そしてブレーキピストンとブレーキローターの間が十分に広くなっ たら、右図の様にしてスプリングをセットしてあるブレーキパッドを 上側を引っ掛け下側を押し込む様にする。 ブレーキキャリパー自体は固定ボルト部分から移動する様になって おり、作業し易い様にブレーキパッドをセットしたい方向と反対側に スライドさせておくと作業し易いだろう。 そして今度は手前の方にブレーキパッドをセットする為に、左図の 様にしてブレーキキャリパー全体を両手で手前に引っ張り、手前側の ブレーキキャリパーとブレーキローターとの間が十分広くなる様にす る。 この際にはブレーキピストンツールを使用してめいっぱいブレーキ ピストンを広げても、ブレーキパッドが新品の場合には極端に隙間を 大きく取る事ができないが、ブレーキパッド着脱作業ぐらいの隙間は 十分に得られるだろう。 そして右図の様にこちらもブレーキパッドの上側を引っ掛ける様に してブレーキパッドの下側を押し込む様にする。 両側のブレーキパッドをセットし終えたら、右図の様に先にセット しておいたブレーキパッドスプリングが正常に取り付けられているか どうかを再確認しておく。 スプリングは右図の様にできるだけ下側に移動させ、ブレーキパッ ド下部の爪内側に十分引っ掛かる様にし、スプリング下部でブレーキ キャリパーを押し支える様な感じにする。 特に、ブレーキピストン側はスプリングがズレていると、ブレーキ ピストンブーツのゴムに接触し破れ易くなる為に注意する。 ◆ブレーキパッドの固定 ブレーキキャリパーにセットしたブレーキパッドは、左図の様なフ レームキーとキースプリングにより固定される。 これらの部品は十分再利用可能であるが、ある程度汚れや錆が発生 しているのであれば新品と交換した方が良いだろう。 ブレーキパッドの固定には、まず右図の様にフレームキーと呼ばれ るL字型の金具をブレーキキャリパーとブレーキパッドに差し込むが 、金具に穴がある方を右上図の様に見える方向に差し込む様にする。 ブレーキパッドの種類にもよるのだろうが、今回リアのブレーキパ ッドを交換した際よりはフロントのフレームキーを差し込んだ方が硬 い感じがした。 その為にブレーキパッドを十分下側に押し付けた状態でもフレーム キーが入れ難い場合には、左図の様にしてハンマーで軽くフレームキ ー自体を叩いて差し込む様にする。 そしてフレームキーが若干車体側寄りまで差し込んだならば、右図 の様にキースプリングと呼ばれる物をラジペン等を利用して差し込む 様にする。 キースプリングを差し込む際には真っ直ぐ差し込む様にして、絶対 に回したりこじったりしない様にする。 これはキースプリングが輪の様になっており、差込先が2本にわか れたままになっている為に回したりこじったりすると開いてしまい上 手くスプリングの役目を果たさなくなる可能性がある。 全ての作業が終了したならば全体的な取り付け具合を確認し、問題 がなければブレーキペダルを数回踏み込み、両側のブレーキパッドを ブレーキローターにしっかりと当てておく様にする。 これは、ブレーキピストンツールにてピストンをめいっぱいに広げ てしまっている為に、そのままではブレーキパッドが遊んでしまって いるからである。 その為にブレーキペダルを数回踏み込み、ブレーキピストンを動作 させてブレーキパッドでブレーキローターをしっかり挟み込んでおく ようにした方が良いだろう。 これでフロント関係の部品交換が全て完了した事になる。 メインに戻る 車両関係に戻る セルボモードメニューに戻る オーバーホールメニューに戻る 第三段メニューに戻る 組込メニューに戻る |