KENWOOD製 4chデジタルパワーアンプ KAC−PS4D
希望の設定について

◆GT−Rの現状
 今回アンプの交換を検討しているのが以下の車両で、右下図の 様に5台のアンプを使用して、フロント低域カットの2ウェイに リアを3ウェイのマルチアンプ構成としている。
 それらをコントロールしているのが左下図のレシーバ下部にあ るエレクトリッククロスオーバーネットワーク2台で、どちらも 3ウェイ設定で5台のアンプを駆動している。
 その詳細は下図の様になっており、下図をクリックすると若干 詳細図が表示される様になっているが、少し前からフロントのツ ィータの片方が振動で接触不良気味になっていた。
 更にいつの間にかドアスピーカからも全て音が出なくなってし まい、元々ドアスピーカは聴感上あまりよろしい位置に無い為に かえってバランスが崩れる為に何れ廃止しようと思っていた。
 そこに今回テストするアンプが見つかり、上手くすると左上図 のナビモニターをコンソール内に取付金具を取り付けられる可能 性もある為にテストしてみる事にした。

◆変更予定構成
 KENWOODから取扱説明書をダウンロードしようとしたが 、当時はまだ掲載されておらず検討資料が無い事には調べようも 無い為に送料込みで1〜1.5千円程度で購入した。
 今はメーカーのダウンロードサイトから取扱説明書をダウンロ ードできる様になったが、あまり詳しく記載されていない中でも メーカーに問い合わせながら以下の案を予定してみた。
 上図はフロントを全て廃止してリアの3ウェイのみとした場合 の構想図であるが、リアの信号を分配して別のアンプを使用して フロントにツィータだけ設置する方法もあるだろう。
 特にリアトレイのあるタイプではどうしてもリアガラスの反射 音となってしまう事から、反射よりも小さいツィータから出た音 がシート等に吸収されてしまったり、リアガラスの形状で上手く 耳まで届かなかったりする事からも、フロントにあった方が良い 場合の方が多いだろう。
 そしてアンプに内蔵しているDSPのエレクトリッククロスオ ーバーネットワーク機能を使用する事により、レシーバの下にあ る1/2DINサイズの物を2台取り外せる。
 その部分に左上図の様なナビモニターの取付金具を使用する事 により、右上図の様にオーディオ部分にナビのモニターを直接取 り付けられる様になり、角度調整も簡単にできる様になる。
 右上図は以前取り付けたBH5レガシーの例であるが、リアの 3ウェイを4chアンプを2台使用して今回と同じ様な構成にし ているが、こちらはオーディオコンソールに余裕があった為にあ えてアンプ内臓のエレクトロニッククロスオーバネットワークを 使用せず、今回の車両と同じ様にJVC製のエレクトロニックク ロスオーバーネットワークを2台使用している。
 若干構成は違うものの、リアだけの3ウェイとする事により今 回の車両でも今までの5台のアンプから右上図の様な2台のアン プだけで済む様になりトランクルーム内もスッキリする。

◆入力の切り換え
 DSPを設定する前に入力の切り換えが必要であるが、それら は下図の設定パネル内にある入力ゲインボリュームの下にある3 つのスライドスイッチによって行える様になっている。
 その入力切替部分だけを拡大した物が下図で、3つのスライド スイッチの一番左にあるスイッチが入力切替で、下図の現在設定 である【A】【B】であれば、AとBの入力を別々に使用して4 chアンプとして使用できる設定となる。
 但し、DSPについてはAとBに個別に入力しても設定はAc hとBchが個別に行える。
 また下図の様に入力切替を【A】の方向にすると、Achに入 力された音声がAchとBchのパワーアンプに入力されるもの で、マルチアンプとして使用する際には通常こちらを使用する。
 今回の実験もそもそもはマルチアンプとしての利用の為に、上 図の様にAchの入力からAとBの両方に音声が入る様に設定し ておいて実験する事にする。
 また、右上図のモノとステレオの切り替えスイッチがあるが、 ブリッジ接続にして使用する以外は使用せず、低音もモノラルで は無い為にまずモノラル設定で使用する事は無いだろう。

◆設定の構成
 そしてDSPの設定は下図の様に回転ダイヤルボタンの右下に あるDISP用のスライドスイッチを【SET】側にスライドす る事により各種設定が変更できるモードになる。
 このDISPスイッチを【SET】側に切り換えた際や、その 左側にあるMODEスイッチを移動させた際のみに、下図の様に 切り換ったモードの表示を数秒間行う様にする。
 設定は左上図の様にMODEスイッチに【A】と【B】に【L INE OUT】の3つがあるが、右上図ではスイッチを【A】 に切り換えた際に数秒間だけ表示される。
 更に、左上図がMODEスイッチが【B】に切り換えた時に表 示され、右上図はMODEスイッチが【LINE OUT】に切 り換えられた時に数秒間表示される。
 これらは切り換えられた際に数秒間表示された後は、以下で説 明する各設定項目の表示に切り換ってしまう為に、設定の際には スイッチの位置を直接確認してから行う様にする。

◆A-CHの設定項目
 下図がMODEスイッチを【A】に切り換えている際に設定で きるパラメータの項目で、BAND1からBAND5まではパラ メトリックイコライザーの設定となっている。
 これらは25Hz〜16KHzを5分割に分け、更に1ポイン トあたり4〜5分割の周波数が設定でき、それぞれのQやゲイン を変更できるトーンコントロールの様な物である。
 最近ではレシーバ側にもある程度のパラメトリックイコライザ は付いている製品が多くなったが、マルチアンプの際には不要な 機能の為に今まで全く使用した事が無い。
 そして今回マルチアンプとして利用する為には上図の下から2 番目にあるハイパスフィルタ(HPF)を使用するが、Achの 設定にはこのHPFだけとなっている事から、Achは高域又は 高中域の設定専用となっている様である。
 設定できるクロスオーバ周波数も30Hzから5KHzと広範 囲な上に、24段階に切り換えられる為に3ウェイや2ウェイで も十分に使用できる様な設定となっている。
 クロスオーバー周波数のカットオフスロープも−12dBの他 に−24dBまである様だが、今までの製品では−12dBまで だけであった為に標準設定の−12dBで使用してみる。
 その後のDELAYはエコー効果の様なものかと思われるが、 音にあまり細工をしたくない事から、これらの設定は0のままで 使用する様にする。
 また、HPFの部分にある標準設定の【TH】はスルーの略で 、Achに入力した音をHPFを通さずそのまま使用する設定の 為に、単なる4chアンプとして利用する際にはこの設定にする 。

◆B-CHの設定項目
 下図がMODEスイッチを【B】に切り換えている際に設定で きるパラメータの項目で、BAND1からBAND5まではAc hと同様にパラメトリックイコライザーの設定となっている。
 Bchでも25Hz〜16KHzを5分割に分け、更に1ポイ ントあたり4〜5分割の周波数が設定でき、それぞれのQやゲイ ンを変更できるトーンコントロールの様な物である。
 そして今回マルチアンプとして利用する為には上図の下から3 番目にあるハイパスフィルタ(HPF)と5番目にあるローパス フィルタ(LPF)を使用するが、Bchの設定にはこのHPF とLPFの2つがある為に、Bchは高域又は高中域の他に低域 としても設定できる様である。
 設定できるクロスオーバ周波数もLPFは30Hzから5KH zと広範囲な上に24段階に切り換えられ、HPFの方は30H zから250Hzと13分割に設定できる様になっている。
 クロスオーバー周波数のカットオフスロープもAchと同様に −12dBの他に−24dBまである様だが、Achと同様に標 準設定の−12dBで使用してみる。
 その他にDELAYやISFがあるが、音にあまり細工をした くない事から、これらの設定は0や【TH】のスルーのままで使 用する様にする。
 また、PHASEと言う位相を180度変える設定もあるが、 これはAchに対しての位相を設定できるもので、DSP上の設 定で位相が反転する事があるのかどうかは不明であるが、とりあ えず今回は標準設定の0のままで使用してみる事にする。

◆LINE OUTの設定
 下図がMODEスイッチを【LINE OUT】に切り換えた 際に設定できるパラメータの項目で、こちらには更に3つのモー ドを切り換えてから設定しなければならない。
 それは下図の様に【ST】と【CTR】に【SW】と言う3つ のモードから予め設定しておくが、【ST】はそのままAchや Bchと同様なDSPパラメータがかけられて出力できる。
 但し、【CTR】と【SW】はセンターとサブウーハの事だと 思われるが、5.1chのDSP機能があると説明されていない 事から何に使用するのかは不明である。
 また後で気付いたのだが更に不明なのが、上図の様なアンプ自 体や取扱説明書に書いてあるブロック図を見る限りでは、LIN E OUTはAchとBchの両方に接続されており、これらの 切り替えパラメータがどこにも無い事から、4ch分の入力が混 じって出てくるのか、もしかすると左右のchも合わさりモノラ ルになってしまうのかどうかも不明である。

◆実際のST/CTR/SW切換
 また、LINE OUTの設定メニュー切り換えだが、取扱説 明書の様にただ単純にST⇒CTR⇒SWと繰り返し切り換えら れ、その選択した部分でダイヤルをプッシュすればその設定メニ ューの中に入るものと思われたが、実際にはそうでなく今回入手 した製品では以下の様なST部分が2つある様な複雑な構成にな っていた。
 その為に、切り換えていても見た目ではSTの表示が変わらな い様に思えるのだが、実際にはSTの設定に入る部分のST表示 なのか、それともCT/SWとの選択でのST表示なのかを見極 めないと思った方向の設定に入れない様である。
 また、このページを製作していて上図の間違いに気付いたが、 全体を書ききると更に複雑になる為に修正していないが、全体の 詳細図を見たい場合には上図をマウスでクリックするとPDFフ ァイルが開く様にしてある為に参照頂きたい。
 実際には上図の右上にある【CTR】と【SW】からのPUS Hは、それぞれの設定メニューに入る為に、上図の様にSTとC T/SWの切り換えるモードに戻る訳ではない。

◆設定を組み合わせる
 最初の方でも若干説明したが、Achのパラメータ設定には下 図の様にハイパスフィルタ(HPF)だけしかない為に、マルチ アンプとして使用するにはAchは高域又は高中域用として設定 する事となり、ツィータ用のアンプとして使用する。
 Achのメニューの中にある左下図の様にHPFの部分を選択 する事により、ダイヤルを回転させれば上図の様に30Hzから 5KHzまでを24分割で切り換えられる。
 そして右上図が3.15KHzに設定した例で、実際のクロス オーバー周波数が表示される為に設定は簡単だろう。
 また下図がBchの設定メニューであり、Achと違うのはロ ーパスフィルタ(LPF)がある事や、ISFやPHASE等も ある点が違う。
 上で説明したAchのクロスオーバー周波数を3.15KHz と設定した場合には、BchのHPFでも3.15KHzと設定 し、LPFでウーハとのクロスオーバ周波数を設定する。
 しかし、BchのHPFを設定するとLPFが設定できず、逆 にLPFを設定してしまうとHPFが設定できずに困っていたら 、取扱説明書の下の方に文章で小さく書いてあり、BchのLP FとHPFはどちらかを設定した場合には片方をTHのスルーに しか設定できない事がわかった。
 その為にAchでHPFを3.15KHzと設定した為にAc hはLPFとして設定する必要があり、左下図の様に2ウェイの 設定としてしか使用できない事がわかった。
 本来BchはLPFとHPFの両方を設定して、右上図の様に Achで指定した部分はカットしたい所で、更に3ウェイとして 使用する為には低域側のカットも必要である。
 しかし今回の製品ではBchの設定がHPFかLPFのどちら か一方の設定だけであった。
 逆に2ウェイだとクロスオーバ周波数が1KHz前後の製品も ある為にその様な設定になるのだろうが、2ウェイのスピーカと ウーハを使用する事で、右上図の様にクロスオーバー周波数を1 20Hz等と低く設定しておき、120Hz以上の帯域は2ウェ イスピーカに内臓のパッシブクロスオーバーネットワーク回路を 使用して擬似的な3ウェイとして使用する事も可能だろう。
 またライン出力にも問題があり、1つはCTRのセンターとS Wのサブウーハはモノラル出力となってしまう為に却下で、ST のストレートの略称かどうかは不明だが、使用するとなるとこの STモードを使うしか無いだろう。
 そうすれば以下の様にLPFやHPFもあるのだが、これらも Bchと同様に同時には使えず、どちらか一方を使用したならば 片方はTHのスルーになってしまうものであった。
 それよりもこの前の部分でも説明したが、ブロック図にある様 にAchとBchの全てに接続されているが、これらかのどこか らの入力を選択するかのメニューが何処にも無い。
 その為に、もしかするとAchとBchの他にLchとRch も混在しているおそれもあり、今回はBchのHPFとLPFの 同時使用ができなかった事もあり実験はここで終了した。

◆結果
 結局、内臓のDSPを使用してアンプを2台使用しても3ウェ イ構成は無理と言う事がわかったが、あえてどうにかならないも のかと検討してみた結果が下図である。
 上図はウーハ用の低域カットもBchでできなかった為に、レ シーバからのフロント出力自体をレシーバ側で低域をカットして 出力する様にした。
 よって、レシーバのフロント出力は120Hz以上の帯域が出 力される為にウーハの部分の帯域がカットされており、その信号 をアンプのAchに入れてAchとBchに供給する。
 そして上側のアンプのAchのHPFクロスオーバ周波数を3 KHzとして、BchのLPFクロスオーバ周波数も3KHzに する事で、上図右中央のグラフの様に中域が作り出される。
 更に、レシーバのリア出力をサブウーハに切り換えておき、そ のクロスオーバー周波数もレシーバ側で設定しておき、そのまま アンプに入力してアンプ側は単なるブリッジ接続にする。
 ブリッジ接続の際にはINPUTの切り換えとスピーカの接続 が特殊な接続となる為に注意が必要であり、結果的に上図の様に レシーバ側の設定ができるタイプでないと構成できない。


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