MITSUBISHI製 天井カセット形ハウジングエアコン MLZ-RX28RAS [1方向形]
屋外配管用スリムダクト取付
使用ダクト ⇒ 因幡電機産業叶サ

◆ダクト工事について
 最近ではようやく家電量販店の取り付け工事でも樹脂製ダクト を使用した配管を標準としている所もある様だが、まだまだ工事 費込みのエアコン取付工事では配管カバー部材は別途請求される 場合が多く、とにかくフレキシブルを多様する為にせっかくダク ト使用による配管を依頼しても見栄えよい配管にならない場合も 多い様である。
 
 せっかくダクトを使用したもののフレキシブルタイプを多用し た例が上図だが、これで妥協できればよいのだがもう少し何とか して欲しい物である。
 例えば左上図にある右側の配管だが、一見それほど見栄えは悪 く無い様に思えるかも知れないが、ここもやろうと思えば下から ストレートで上った後には、一旦コーナー平面90度を使用して 右に向け、コーナー立面90度を使用した後に直ぐにコーナー平 面90度を使用すれば現在のウォールコーナーに辿り着く様にで きるだろう。
 しかし、ウォールコーナー取付部分が90度に面した壁に接近 している事から若干無理な様に思えるが、エアコンの壁面取り付 け形室内機には左右から配管が出来る様になっている事からも、 若干ストレート部分が発生しても良ければ可能で、また室内機の 取り付け位置を若干移動しても見栄え上問題無ければ可能となる だろう。
 そして上図左側の真下には2台の室外機が2段取り付け置き台 に乗せてあるのだが、ここも別々に2本のダクトを使用するので はなく、幅広なダクトを1本使用し立ち上げて途中でT型ジョイ ントを使用して分岐する方がよいだろう。
 更に問題なのが上図左側にある2本の配管の間に丸い物が見え るのがわかると思うが、本来は裏側の部屋に付いた室内機からは この部分より配管されていた。
 しかし、この部屋を改装した際の業者が壁を塗り替える際に一 旦エアコンの室内機を取り外した後に、何故か右上図の様に別の 部分へと配管を伸ばして取り付けて行った。
 その為に左上図にある丸いものは従来配管されていた穴にウォ ールコーナー用のキャップを取り付けて行った跡であるが、更に 積算電力計の配管等もあった性かコーナー部分全体を長いフレキ シブルダクトで配管して行った。
 これではせっかく樹脂製のダクトを使用したにしても、配管が 剥き出しになっていないだけ良いとしても、見た目は全く良くな く信じられない配管である。
 どうしてもこの様にしたいのならば、左上図のコーナー平面9 0度からは一旦段差継手を使用して黒い柱部分まで配管を持ち上 げ、そこからコーナー立面90度で向きを変えてから、右上図の 様に積算電力計の線材部分まではストレートを使用して、更にそ こから再度段差継手を使用してから右上図にあるウォールコーナ ーから出ているストレートへと接続する。
 積算電力計の線材と柱との間にはストレートダクト固定用のス ペーサとして角材等を使用しても良いが、この長さのストレート であれば固定しなくとも大丈夫であろう。
 またコーナー間等が接近して短くとも必ず製品にはストレート 部分がオーバーラップして挿し込める形状となっている為に、手 を抜かず必ずストレートも使用して接続する様にする。
 確かに商売となるとできるだけ手持ち部品は少なくして、フレ キシブルで全て対応してしまえば簡単で安く短時間で済むのだろ うが、設置してもらう側としてはお金を支払ってまでも間に合わ せ的な工事をされてしまっては、この配管を何年も若しくは10 〜20年も見て行かなければならない為に、プロであれば業務だ からというだけでなく作品と思わせる位の仕事をして頂きたい。

◆スリムダクトについて
 今回は近所のホームセンターや今まで施工してもらった業者に 今回お世話になった部材調達業者等でもよく使用している イナバ電工製 のスリムダクトを使用する事にした。
 製品のシリーズとしては今回使用したSDシリーズの他にMD シリーズとLDシリーズがあるが、MDシリーズは屋内専用品の 為に屋外では使用できない。
 またLDシリーズは今回使用したSDシリーズと同じ屋外用で あるが、LDシリーズではサイズが70と90の2種類となって おり、今回使用したSDシリーズでは66/77/100/14 0の4種類に増えており、カラーバリエーションも4色から5色 になりホワイトが追加されている様である。
 このLDシリーズとSDシリーズではサイズが違っている為に 詳細はメーカーに聞いてみないとわからないが、おそらく今回使 用したSDシリーズはLDシリーズの高耐候性としてサイズを増 やした製品だと思われる。
 そのSDシリーズの形状は下図の様になっており、サイズ等の 詳細は イナバ電工製 のホームページを参照頂きたいが、製品は上下2分割構造となっ ており、壁面への取り付けの為に下図の下部に見える小さなコの 字型の突起部分には一定間隔でネジ穴用の長穴が付いており、こ の長穴は全て塞がれておりドライバー等で簡単に打ち抜く事がで きる形状となっている。
 壁面への取り付け強度として66/77サイズでは1列の取り 付けネジとなっているが、100サイズでは2列で140サイズ では3列のネジ固定が出来る様になっている。
 この樹脂ダクトであるスリムダクトSDを使用する際には、ま ず使用するサイズを決定する必要があるが、一般的には下図にあ る様に断熱材付き冷媒用銅管2本と、内外機との電源や通信を行 っているφ2.0サイズの3芯VVFケーブルに、室内機から結 露してドレンパンに溜まった水の排水用としてのドレン用配管を 通す事になるだろう。
 このドレンホースにも様々あるが、今回は断熱材付きのドレン ホースを使用する事から、通常使用されるドレンホースよりも一 回り二回りも太くなる為に、これらも考慮して使用するダクトサ イズを選定する必要がある。
 
 今回使用するエアコンでは使用する冷媒配管が液管外径がφ6 .35(1/4”)とガス管外径が9.52(3/8”)となっ ている為に、イナバ製のペアコイル品番はPC−2320となり 保護材外形ではφ24とφ27となる事から冷媒配管使用面積と しては□27×51と言う事になる。
 更に今回はイナバ製の断熱ドレンホースを使用するが、室内機 の仕様を見てみるとVP20による接続とあるが、540mmの ドレンホース付属とも記載されており、おそらく付属ドレンホー スの接続径がVP20となっているおそれがある為に、他のエア コンを購入の際には実際に使用するエアコンが届くまで購入を見 合わせた方が良いだろう。
 今回も実際に届いたエアコンの室内機を見てみると、室内機か ら直接する配管径はφ14.5の内径配管となっていた為に、イ ナバ製のDSH−14が使用でき、ホース外形はφ26.5とな っている様であり、VVFケーブルに関しては2本ある冷媒配管 とドレンホース径を四角い面積で考えれば、更にもう1本のホー スが入れられる面積は空く事になるだろう。
 よって、冷媒配管が□27×51と言う事でその細い27側に φ26.5のドレンホースを持ってくると、□53.5×51と なる事から□46.5×51のSD−66では小さい為に、□6 0×56のSD−77を使用する事にした。
 その為にその他のコーナー部分や接続部分に端末部分の樹脂ダ クト製品も全て製品品番に77と記載されている77サイズの製 品を選定する必要が出てくる。

◆使用部品について
 そして別ページの 【取り付け方法の検討】 にある『スリムダクト使用構成図』にもある様に、ここから必要 な部品を調達した物が下図である。
 下図にはストレート部分のダクトが無いが、全長が2mほどあ る為に画像としては収まりきらず、ここではコーナーや端末部分 に使用する製品のみを掲載してある。
 そのコーナー部分に使用するのが下図にある『スリムコーナー 平面90゜』SK−77であるが、今回は出窓の軒先を避ける為 にクランク形状とする事から2個使用する。
 
 このクランク部分の長さだが、上図の製品よりも短い長さで折 り曲げられる下図の様な『ミニスリムコーナー平面90゜』SK M−77も用意してみた。
 もしも見た目でクランク部分が大きく感じられる様であればこ のミニタイプを使用する予定で購入したが、実際には上図の標準 タイプのコーナーで十分だった為に今回は使用していない。
 また、上下の図を比較してもわかる様に配管関係の折り曲げ角 度が急になる事から、使用に当たっては樹脂ダクト内のスペース に余裕を持って使用する必要があるだろう。
 
 そして下図がエアコンの室外機付近で配管を出す為の『端末カ バー』SE−77で、余裕ある樹脂ダクト径を配管に合わせて出 口付近で絞り込む為のカバーである。
 
 この端末カバーにはSENシリーズもあるのだが、何故か77 サイズのみこのSEシリーズとなっているが、おそらく下図の様 にドレンホースも一緒に出せる様にした製品がSEシリーズの様 で、一番使用される77サイズにだけSEシリーズがある様であ る。
 
 また通常は壁面取付タイプのエアコン工事には、壁面へと入り 込むウォールコーナーを使用するのが一般的であるが、今回は天 井への取り付けとなる事からも壁面にではなく天井裏まで配管を 持ち上げる必要がある。
 その為に今回は下図の様な『シーリングキャップ』SP−77 を使用して、下図の右側にある様に使用して天井裏まで配管を引 き込む様にする。
 
 下図はストレート同士を接続する『スリムジョイント』SJ− 77であるが、これは室外機から出窓の軒先下部分までのストレ ートによる立ち上げが2mで足りない場合に中継接続する為に用 意した物だったが、実際の取り付けでは必要ないどころか直線部 分では長過ぎて切断して使用した。
 
 また今回購入したエアコンの室外機にある配管取り込み口を見 てみたならば、全体を大きな樹脂製のカバーで覆ってある事から 、この部分にある配管コネクター等は一切見えない様になってい た事もあり、急遽下図の様なジャバラ形状の『フリーコーナー』 SF−77−500をホームセンターより調達し、ストレート部 分からエアコンの室外機カバー内まで使用する事にした。
 
 しかし上図でもわかる様にストレート部分から折り曲げると、 挿し込んだ部分の変形具合が見えてしまう事からも、フリーコー ナーを使用する場合には下図にある『フリーコーナージョイント 』を使用する様にした方が良いだろう。
 

◆取り付け部材について
 スリムダクトを固定する為には壁面へのネジを取り付ける部材 を用意する必要がある。
 しかし一般住宅の壁面ではボード上にコンクリート等の薄く塗 られたものが多く、そのまま木ネジやタッピングビス等を使用し ても抜け易いだけでなく、下手をするとネジにかかる荷重に耐え 切れずネジを挿し込んだ部分の壁がはがれてくる可能性もある。
 その為に壁面にネジを使用する為には一旦右下図の様なコンク リートドリルで予備穴を開ける必要があり、更に使用するビスは 必ずネジ山が四角い物や段違いになっている壁の崩れ難くしっか りと固定される物を選定する必要があるだろう。
 しかし今回はそれらのビスを使用しつつも更に壁面が崩れ難い 様に、下図左側にある様なアンカータイプのオールプラグを使用 している。
 その為にこのオールプラグは使用するビス径に合わせて購入す る必要があり、更にコンクリートドリルはこのオールプラグの取 り付け径にあわせた物を購入しておく必要がある。
 
 更に使用するビスはスリムダクトのネジ穴が長穴になっている 事もありできるだけ広い面積で押え付けられる下図の様なタイプ を用意してみた。
 このビスであれば平ワッシャーを使用せずとも同様な効果が得 られるだけでなく、ネジ頭が薄い事からダクト内のダクト等の邪 魔になり難い為にお薦めである。
 しかしその反面、ネジ頭が薄い事からもドライバーの挿し込み 量が若干浅い性か、しっかりとビスに対して直角で押し付けなが ら回さないと、すぐにネジ頭が崩れてしまいビスを交換する事に なるだろうが、その点以外はダクト内に使用するには持って来い の製品である。
 
 尚、今回使用したビスは上の左図にある4.2サイズではなく 3.7サイズを使用したが、できるだけ壁面のビス穴は小さい方 が壁面に対してはよく、これに合わせてオールプラグも以前3. 8〜4.1用の物を購入していたが使用ドリル径が5mmと大き い為に、ドリル径の4.5mmである3.1〜3.5のオールプ ラグに3.7のビスを使用して固定している。

◆取り付けについて
 そして上記で用意したスリムダクト製品を使用して、若干の変 更はあったものの下図の様な取り付けにて工事を実施した。

◆クランク部分からの取付
 まずは下図の様に出窓軒下部分のクランク形状から取り付ける が、この部分には『スリムコーナー平面90゜』SK−77を使 用して、スリムダクトの上側カバーを開閉する際に、下部両サイ ドを指で挟んで幅寄せするだけの指が入る程度に寄せて固定して いる。
 更にその部分から1階の屋根軒下に立ち上げる為に、もう一度 『スリムコーナー平面90゜』SK−77を使するが、その間に は右下図の様にストレートを短く切った物を使用する。
 この短いストレートを切り出す際には必ず使用長さの中央部分 に固定用のビスが来る様に切断する事が重要で、短い長さの為に ビスは不要と言う場合には落下して来ない様にダクト同士を両面 テープ等で固定しておく様にした方が良いだろう。
 
 そのストレートを介した部分に下図の様に更に上向きにした『 スリムコーナー平面90゜』SK−77を固定するが、更に右下 図の様にストレートを切り出して、その先端には天井裏へと配管 を取り込む為の『SDシーリングキャップ』SP−77を固定す る。
 そして右下図の様に軒下のボードにはSDシーリングキャップ の内側を切り取る為に、SDシーリングキャップの内側をトレー スして仮書いておく様にする。
 そうしたならば軒下の穴あけ加工で邪魔にならない様に、一旦 SDシーリングキャップとそこに接続されるストレート部分は取 り外しておく様にする。
 

◆軒先の穴あけ加工
 軒先の加工方法は色々とあるが、ここでは左下図の様に5mm 程度のドリルで接近した穴を仮書いた線に沿って穴を開けて行き 、そのドリルの穴と穴をニッパー等で切り取って行く方法で右下 図の様に穴を開けた。
 この部分の軒下に使用されている材質は、薄い穴あきのベニヤ 板となっている為に、マイナスドライバーをタガネの様にしてハ ンマーで打ちつけながら切り取っても良いのだが、マイナスドラ イバーを打ち付ける際にベニヤ板に余計な力がかかると想定しな い方向に裂ける可能性がある為に、あまりベニヤ板に力がかかる 加工は避けた方が良いだろう。
 また上記では説明し忘れたが、下図ではクランクの立ち上がり をもう少し出窓軒先に寄せる事ができるスペースがあるが、これ は1階軒先で下図の穴を開けた位置から左側に角材があった事で 、せっかく補強されている軒先の角材を無理に切り取る事は避け る為にこの位置となった。
 更に下図右側を見てもわかる様に、壁面側に切り取り残しがあ るのがわかると思うが、これは軒下のベニア板を固定する為の角 材が裏にあり、これらも避けた形で切り取っている。
 
 ドリルにより狭間隔で開けた穴はニッパーで切り取っても当然 ザクザクの状態になる事から、配管を通す際には断熱材等がひっ かかり破れてしまわない様にできるだけ綺麗な穴になる様に、ヤ スリやカッター等を使用して仕上げる様にする。
 その際には切り取った部分にSDシーリングキャップと同サイ ズで24mmほどの厚さで保護できる『スリムキャップ』SWC −77を使用するのもよいだろう。
 しかしこの『スリムキャップ』SWC−77はSDシーリング キャップと同じサイズの為に、軒下に入る部分に見える樹脂カバ ーが2段になって見える様になるかも知れない。
 更に、スリムキャップは内径が77シリーズと同様に絞られる 為に、シーリングキャップの様に広い穴サイズのままにはならな くなってしまう事にも注意が必要である。
 特に軒下から天井裏には横柱の間を通す必要がある事からも、 柱の構造によってはできるだけ大きな穴を開けて、配管に負担が かからない様なRを描いて取り込む必要がある。
 
 軒下の穴あけ加工が完了したならば、左上図の様に先にSDシ ーリングキャップを取り付けてから、右上図の様にストレート部 分を装着して接合する様にする。
 この装着順はSDダクトの構造によるもので、必ず部品の接合 部はストレートが各コーナー部品の上から取り付ける構造となっ ている為である。

◆ストレート部分とカバー
 そして左下図の様に一旦これまで取り付けた部分にカバーを取 り付けてみて、ストレート部分と接合するコーナーだけは開けた ままにしておく。
 あとは右下図の様にコーナー部分から下側にストレート部分を 取り付けて、室外機の配管取り出し部分付近の高さまでの長さで 取り付けカバーをすれば壁面の取付作業は完了となる。
 
 今回は室外機の配管取り付け部分を製品到着後に見て変更した が、右下図の様にせっかく室外機の配管部に大きなカバーが取り 付けてある為に、ジャバラタイプのフリーコーナーを使用して全 く配管が見えない様にした。
 しかし右下図でもわかる様に、ストレートとフリーコーナーの 接続部分が折り曲げられる事により、フリーコーナーの挿し込み 部分が見え易くなる事からも、この部分にはフリーコーナージョ イントを使用しておいた方が良いだろう。
 

◆取り付け完了
 今回の室外機設置とスリムダクト取り付け作業が完了した物が 下図で、室外機の配管関係が下図の向かって右側となっている事 から、まずは出窓の外枠と室外機の外枠のラインを合わせて設置 している。
 そして室外機からの配管部分とそのカバーが飛び出している位 置から、下図の様に丁度よく出窓の側面を立ち上る様な感じでダ クトを取り付けている。
 1階軒下裏にある角材を避ける為に出窓軒先を避けるダクトが 他の部分より離れて見えるのが残念であるが、これは建屋の構造 上しょうがないだろう。
 また、室外機に取り付けた日除けの屋根も出窓の下部ラインと ピッタリであった。
 今回の作業ではまだ配管関係を全く通していない為に上図では 飾り状態となっているが、室内機の取り付けにはかなりの時間が かかりそうである事からも、ダクト取り付け後は一旦全てカバー を取り付けておき、ダクト内にホコリや雨がかからない様にして おく必要がある。


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