スズキ アルトワークス RS-Z(HB21S)
取り外した部品の一部

◆分解した古い部品
 今までにもセルボモードやGT−Rでも色々と部品交換を行っ ているものの、新しい部品はもちろんだが古い部品も廃棄しても らってしまい、交換前がどんな状態だったかがまったくわからず 、いつも後になってとりあえず古い交換した部品だけでも画像を 残しておけばと後悔していた。
 その為に、今回アルトワークスのエンジン交換に関する古い部 品については、とりあえず一旦自宅に持ち帰って画像として残し ておき、500kmの油脂交換時に廃棄してもらう事にした。
 そこで以下では取り外した部品の一部を撮影した物を載せてみ る事にした。

◆クラッチ
 クラッチは既に私が車を受け取った際にはすごく重く、強化ク ラッチでも入れているのかと思うほど重く、半クラもなかなかう まく行かずジャダーも発生していた。
 その取り外したクラッチとクラッチカバーにフライホイールが 左上図で、クラッチ自体は右上図の様に軽量化か放熱性かは不明 だが、2枚が貼り合わさる構造となっている。
 クラッチの磨耗自体を見てみると上図の様になっており、左上 図側ではかろうじてクラッチ部分に入れられた溝が見えるものの 、もはや溝が無くなる一歩手前と言った感じである。
 また右上図の面ではもはや溝がほとんど見えなくなっており、 1本おきには完全に溝が消えてしまっている部分が多く、十分に 交換次期を過ぎてしまっている様であった。
 その溝が無い方の拡大図が左上図で、何となくここに溝があっ た感じがする程度の溝しか残っていない事がよくわかるだろう。
 更によく見てみると右上図の様に、クラッチ中央にある4つの スプリングのうちの1ヶ所に、スプリングをガイドしている部分 が破損して欠けて紛失しているのがわかるだろう。

◆クラッチカバー
 上記までのクラッチ板をフライホイールとの間に挟むクラッチ カバーで、左下図にある光沢のある部分がバネによりクラッチを 押して挟む役割をしている。
 その為にこの部分はクラッチ板と同様に磨耗する部品となる。
 そして右上図の中央部分がクラッチペダルを踏むとリンク機構 部分にあるレリーズベアリングが当たり押し込まれ、それにより クラッチを押していた部分が開く構造になっている。
 その為に今回は箱に入っていなかったが、クラッチを押すレリ ーズベアリングもダメージを負っている可能性があり、クラッチ の交換時にはレリーズベアリングも必ず交換する様にする。
 このクラッチカバーのクラッチディスクと接触する部分は左上 図の様に磨かれて綺麗になっており、新品と比較しないとどれだ け減ったのかはわからないだろう。
 しかし、左上図の画像ではストロボを照射している為によくわ からないが、右上図の様に斜めからの反射光でみてみると縞模様 に擦り減っているのがよくわかるだろう。
 その為に、クラッチディスクだけを交換してしまうと、この縞 模様で段付きになっている為に完全な面接触とならず、せっかく の新しいクラッチディスクを入れても馴染むまでの磨耗が早いだ けでなく、逆に新品のクラッチディスクを入れた方がジャダーが 出易くなったり滑り易くなってしまう可能性がある為に、クラッ チディスクの交換時には多少高価でも必ずクラッチカバーも一緒 に交換した方がよいだろう。

◆フライホイール
 下図はエンジン側に付いているフライホイールで、左下図の磨 かれた部分にクラッチディスクが擦り付けられた跡で、外周にあ る6つの穴がクラッチカバーの固定ネジ穴である。
 そしてこのフライホイールの裏側は右下図の様に軽量化の溝と バランス取りの穴が上にある。
 画像ではわかり難いと思うが左上図や左下図の様にクラッチデ ィスクが擦った部分はある程度減っているのだが、とにかくフラ イホイールは減ったダストがかなり多く付着している。
 また、画像からはわからないがクラッチカバーでも説明した様 に、クラッチディスクが擦れた部分には凹凸の縞模様ができてい る事もあり、そのまま再利用してしまうとクラッチカバーと同様 にクラッチディスクの変磨耗や、初期あたり時のジャダーやすべ りが発生し易くなる為に、当然クラッチディスクが馴染むまでの 消耗も激しくなる為に、クラッチディスク交換の際にはクラッチ カバーとフライホイールにレリーズベアリングの4点セットで交 換した方がよいだろう。
 また、フライホイールの外周には左上図の様にギヤの溝が取り 付けられているが、これがエンジンスタータモータで回される部 分であり、スタータモータ自体のギヤが飛び出て接触する。
 しかし、右上図の様に擦れた跡はあるもののこれだけのぶ厚い 材質の為に、欠け等は全く無くこの部分に関しては再利用できそ うな感じであるが、一体式の為に交換した方が良いだろう。
 今回はスタータモータも交換しているが、リビルト品を使用し た為に取外し後メーカに戻した事から画像が無いのが残念である 。

◆タービンアウトレット
 左下図はタービンのすぐ後ろに取り付くパイプだが、セルボモ ードではこの部分に大きな触媒が取り付けてあったが、アルトワ ークスではこの様にストレートパイプになっている。
 その一部には右上図の様に遮熱板が取り付けてあるが、熱でボ ロボロに表面が浮いた状態になっており、指で押すとパリパリに 表面が剥がれて落ちてくる様な感じになってしまっている。
 以下で画像が出てくるが、エキゾーストマニホールドからター ビンに入る方はタービンを回す為に絞ってあるが、タービンの出 口側は排気バイパスアクチュエータからの排気部分もある為に、 左上図の様にかなり広く開口部が付いているのがわかるだろう。
 そしてこのパイプ自体には右上図の様にCO2センサーが直接 取り付けある。
 おそらく25万キロは無交換の為にセンサーも排気の高温にさ らされて、更に左上図の様にカーボン自体も溜まっている事から もセンサーの目詰まりの可能性もある。
 ちなみに右上図が4万キロ弱で15年使用したセルボモードの CO2センサーで、センサーの根元は若干黒くなっているものの カーボン付着は無く綺麗なのがわかるだろう。
 その為に今回はパイプと共にこのCO2センサーも交換して、 エンジン制御側の誤動作が起こらない様にしておき、私の走行距 離からすると15年でも右上図程度にしかならないであろう。

◆インジェクタ
 下図が一番心配な部分であるフューエルインジェクターで、お そらくトラブルが無ければ25万キロ無交換と思われるが、これ もまたすごい耐久テストをした事になる。
 インジェクターは高価な為におそらく壊れてもその部分だけ交 換していると思われるが、右下図の様に各インジェクターが同じ 様な汚れ具合からも無交換なのであろう。
 だとすればなおさらこの先トラブル可能性がある為に、真っ先 に交換したい部品で合った事からも、上図の様にデリバリーパイ プごと全てまとめて交換してみた。
 そのデリバリーパイプには左上図の様にフューエルレギュレー タが取り付けてあり、燃圧低下防止の為に常に燃料ポンプでは必 要以上の圧力をかけており、その余分な部分をこのフューエルレ ギュレータで燃料タンクに戻している。
 その為に、抜けない方向に壊れると燃圧は高いままとなり、抜 けたままの方向に壊れると燃圧低下になり、高回転過給時の場合 には燃料不足になると危険である。
 その為にデリバリパイプと一緒にまとめてフュエールレギュレ ータも交換したが、燃料フィルタも付いている事もあり、右上図 の様にパイプ内は意外と綺麗である。
 そして上図がフューエルインジェクターの拡大図で、左上図は デリバリパイプに取り付く供給側で、右上図がエンジン側に向く サージタンクのインテークマニホールドに取り付く部分である。
 上図の様にインジェクターの双方向共に挿し込むだけとなって おり、ネジ等で固定される部分は全く無く接続部分にはゴム製の パッキンが取り付けてあるだけである。
 これらはインジェクターとセット販売の為に必ず新品と交換す る様にするが、左上図の様にインテークマニホールド側はただ挿 し込んであるだけの為に落下に注意して取り付ける。
 右上図がインジェクターのガソリンが噴出すノズル部分になる が、小さくて拡大鏡でも使用しないと穴の形状を確認する事はで きないが、中央の部分から放射状にでも噴出すのだろう。

◆サーモスタットと配管
 水周りは以前、別ページにある 『やはり現車を生かす』 の最後の方にもある様に、冷却水が減ると言う事で水を追加して いるうちにか全て水になってしまっており、冬に凍結しない様に とクーラントを入れる際にラジエータ内等が錆びてドロドロにな っていた。
 その結果が上図の様にサーモスタット関係や配管のゴムホース 内に至るまで茶色くなってしまっており、いかに錆びていたかが この状態からもわかるだろう。
 特に右上図のサーモスタット部分は重要で、錆等で動作しなく なってしまうと大変で、閉じなくなる方向に壊れれば暖機運転が 長くなるだけであるが、開かなくなる方向に壊れるとオーバーヒ ートを多発する様になる為に危険である。
 その為にサーモスタットは錆びなくとも10〜15年以上では 交換したい部品で、左上図の様にサーモスタットの裏側等や右上 図の様にサーモスタットのカバー内もかなり錆が付着していた。
 更に左上図の様に各部配管部分の錆もひどく、一度交換した様 に新しく見えたラジエータキャップも右上図の様に錆が多く見え 、今回は水周り関係を全て配管やホース類も交換して正解だった かも知れない。

◆エキゾーストマニホールド
 エキゾーストマニホールドは交換する必要があるかどうかであ るが、 セルボモード の時も距離は4万キロ弱と言う事であったものの15年と言う事 で部品が無くならないうちに交換した。
 今回は10年とセルボモードよりも5年早いものの20万キロ と言う事を考えると、せっかく全て新品部品や綺麗なリビルト部 品を使用することから全て交換する事にした。
 その10年で20万キロ走行したエキゾーストマニホールドが 左上図で、カムカバーから漏れ出したオイル関係がガスケットと エキゾーストマニホールドの間まで入り込んでいるのがわかる。
 左上図の奥にある遮熱板はそれほど傷んでいない様に見えるが 、取り付けネジ部分は錆びたり一部切れそうになっている部分が あったが、これらも全て最初から交換する予定であった。
 そして左上図がエキゾーストマニホールドの普段見えているタ ービン側で、こちら側に取り付けてある遮熱板も最初の方で記載 したタービンアウトレットパイプ用の遮熱板と比較するとかなり 綺麗な様であるが、こちらも全て交換する予定にしていた為に再 利用はしなかった。
 そのタービンが取り付く部分を拡大したのが右上図で、排気ガ スで常に押し出されている為にそれほど厚く煤は蓄積していない が、それでも全体的に煤で覆われている様である。
 左上図の様にガスケットの当たり具合からどうもインテーク側 の物なのかも知れまないが、このメタル製ガスケットは3枚重ね 構造となっており、持ち上げてみると右上図の様に外れていた。
 ガスケット類は一度取り外したならば再利用はせずに交換する 必要がある為に、右上図の様に破損していなくとも必ず交換する 様にする。

◆クランクプーリー
 下図がクランクシャフトに取り付けられているクランクプーリ で、このプーリにかけられたベルトにより発電機やウォータポン プにエアコンのコンプレッサが回転している。
 左下図がクランクプーリの正面で右下図がその背面であるが、 下側には2つのバランス取りした丸い溝が付いており、全体的に は黒く何らかの処理が施してある。
 このクランクプーリは左下図の様にクランクシャフト側にも同 様の溝が付いており、ここに四角いキーが通してクランクシャフ トとの滑り止めとなっている。
 クランクプーリを交換の際にはこのキーも交換するが、紛失防 止の為に安価な部品の為に2つほど用意しておくのも良いだろう 。
 そして右上図がベルトがかけられている部分であるが、茶色い 楕円の斑点になった部分が今回の交換作業の際にこれだけ錆びて しまっているが、いくら金属でもベルトと20万キロも擦れれば 多少は擦り減っている事もあるが、長年の汚れや最後にはオイル が漏れて付着している可能性もある為に交換した。
 特に今回はウォータポンプもリビルトエンジンで新品プーリが 取り付けてあり、オルタネータもリビルト品で新品プーリになっ ていた事もあり全て新しいプーリーとなった。
 一度プーリに付いた油等はなかなか取れず、ベルトすべりやベ ルト鳴きの原因となってしまう為に、鳴き止め剤等は使用せずに プーリやベルト交換でしっかりと対応する必要がある。

◆センサー関係
 左下図がスロットルポジションセンサーで、アクセル開度を検 出するセンサーとなっており、スロットルバルブハウジングに取 り付けられている。
 トヨタや日産はデンソー製や三菱製の電装が多い為に、今回ア ルトワークスのセンサーを取り外したならば、左下図の様に日立 製のセンサーが取り付けてあり初めて日立製のを見た。
 センサー自体は左上図の様に青いカバー部分が接着・シーリン グされている為に取り外しが面倒な為に開けなかったが、プリン ト基板により段階的に抵抗値が変わるタイプと連続的に抵抗値が 変わるボリュームタイプとがあるが、10年前位であれば既に段 階的に抵抗値が変わるタイプは使用されていないと思われ、おそ らく連続的に変わるタイプだと思われる。
 もっとも、右上図の様にセンサーの端子にテスターを抵抗レン ジにして調べればわかる事だが、整備書を見てもセンサーのテス ト方法としてどう言う値が出るかが書いてあるだろう。
 このスロットルポジションセンサーの裏側は左上図の様になっ ており、スロットルバルブがスロットルペダルからきているワイ ヤーがかけられたプーリと同軸の反対側に取り付けられる為に、 スロッドバルブと同期してこのセンサーも回転させられる。
 また右上図にあるのがノックセンサーで、エンジンの異常振動 を検出して、エンジンコントロールコンピュータ側で点火時期等 を制御する為のセンサーとなっている。
 このノックセンサーはエンジンのシリンダーブロックに直接取 り付けられており、左上図のボルト上になっている部分が直接シ リンダーブロックにネジ込まれている。
 リビルトエンジンを載せ替えた後も、このK6Aエンジンは2 ,000rpm以下では結構ノッキングするが、新品センサーを 使用しても変わらなかった為に、中・高回転時の補正用に使用し ているのかも知れないが、K6Aはできるだけ3,000rpm 以上で使用した方が良い様である。
 センサー用のコネクターは右上図の様にしっかりとした防水タ イプのコネクターが使用されているが、コネクターの線材が出て いる付け根に負担がかからない様に結束する必要がある。

◆点火系部品
 今回のアルトワークスは10年と言う事もあるが25万キロと いう走行距離からも、安定した点火が得られなくなっていると思 われ、点火系についても全て交換してしまう事にした。
 その点火系の一部として左上図にあるのが高圧を発生させる為 のイグニッションコイルで、コイル自体も熱で絶縁性が悪くなっ てしまうと高圧が発生しなくなる為に交換が必要である。
 イグニッションコイルの高圧側のコネクターが右上図で、中に は金色の真鍮製なのか電極が見え、コイルの樹脂部分にはスロッ トルポジションセンサーと同様に日立製のロゴが見える。
 そしてイグニッションコイルの1次側のコネクターが左上図で 、その付近に取り付けられた右上図の物がイグニッションコイル をON/OFFする際に発生する逆起電力を吸収させる為のノイ ズフィルターと思われる物が取り付けられている。
 そのコネクターが左下図の様に3Pとなっているが、前期型で は4Pタイプとなっていたりするのだが、今回はこれらを全て取 り付けブラケットごと交換した。
 そしてイグニッションコイルから発生された高圧は、右上図に ある様なディストリビュータにより分配されるが、残念ながら次 のタイプのアルトワークスにならないとダイレクトイグニッショ ンシステムは搭載されていない為に、ディストリビュータによる 分配システムとなる。
 今回の車両には左上図の様にNGK製のプラグコードが取り付 けてあったが、どれだけ使用したのかがわからなかった為に今回 はプラグコードも含めて交換する事にした為に廃棄した。
 このディストリビュータはエンジン側との接続は右上図の様な はめ合い式となっており、180度取り付けさえ間違えなければ 簡単に着脱が可能な機構となっている。
 前期型ではこのタイプは2バルブ用で、4バルブ用はヘリカル ギヤタイプの様な接続部分となっていたが、やはり着脱が簡単な 為か後期型からこの様な構造となった様である。
 そしてこのディストリビュータの中にはクランク角センサーも 搭載されている為に、左上図の様なセンサー用のコネクターが出 ているが、どうやら2線式のセンサーが使用されている様である 。
 分解ついでに右上図の様に、ディストリビュータからプラグコ ードを全て取り外した後で、左下図の様にディストリビュータキ ャップにある2ヶ所のネジを取り外して分解してみた。
 2ヶ所のネジを取り外すと左上図の様にディストリビュータキ ャップが取り外せるが、このディストリビュータキャップにも右 上図の様に日立製であるロゴが入っていた。
 また、高圧ケーブルが接続される部分のコンタクトには、イグ ニッションコイルの金色の真鍮製とは違い、ディストリビュータ キャップ側は銀色のアルミ製の電極が使用されている。
 そのディストリビュータキャップの裏側を見てみると左上図の 様に各電極となっている部分に突起が出ており、その部分を拡大 した物が右上図であるが、中心の電極から入力された高圧は左下 図のディストリビュータロータが回転する事により、右上図の外 側にある半丸の電極へと伝達・分配されプラグコードへと出力さ れる事になる。
 その高圧を分配する役割をするのが左上図のロータであるが、 中心に見える電極が接触して高圧を伝えるが、分配側は右上図の ような幅のある電極が非接触で高圧を分配する様になっている為 に、湿気や電極の状態具合で高圧の伝達が変化してしまう。
 その為に本来はディストリビュータレスイグニッションシステ ムの方が望ましいのだが、残念ながらこの年代のアルトワークス には搭載されていなかった。
 また、このロータの電極やディストリビュータキャップの電極 が、高圧により焦げてボロボロになっている様に見えても絶対に ヤスリ等で削らない様にする。
 これは新品でもある程度はザラザラしたものとなっており、放 電し易い様にと電極が高圧で焦げない様な処理がされている為に 、下手に磨いてしまうとかえって放電し難くなってしまう。
 更にクランク角センサーを見てみる為にディストリビュータの ローターを取り外してみるが、今回の場合にはただ引き抜こうと しても外れず、左上図の様に電極とは反対側の下にビスで固定し てある為に、このビスを予め取り外しておく必要がある。
 このロータが固定されているビスを1本取り外せば、あとはた だ引き抜くだけで右上図の様にロータのみが取り外せる様になる 。
 ロータを取り外すと左上図の様にクランク角センサーとシャフ トに付けられた高圧を発生させるタイミングを発生させる突起の 様な物が見えて来る様になる。
 その部分を拡大した物が右上図で、右側にある黒い物がピック アップ部としてのセンサーとなっており、そのシャフト側に見え る小さな四角い鉄心でタイミングを見ている様である。
 シャフトに付けられたタイミングを発生させる突起は3ヶ所ず つあるが、3気筒分の1箇所は左下図の様に3ヶ所のタイミング を発生する突起が付けられている。
 このタイミングを発生する突起が1気筒分で多数ある意味は不 明だが、おそらく左上図の4ヶ所ある部分が1番箇所の点火時期 を示す物かも知れないが、最初の2ヶ所でONとOFFとし少し 離れた所は4サイクル中の空工程時の排気時の点火用タイミング 等と使い分けているのかも知れないが、何れも動作的には不明な 為にただこんな形状になっているとしてだけ見て欲しい。
 このディストリビュータには水抜き穴が付いているが、センサ ーの線材が引き出してある部分には右上図の様に厚いゴム製の防 水加工部分が付いており、ディストリビュータキャップとの間に は上図どちらでもわかる様に、黒いリング状のパッキンが取り付 けてあり防水対策をしてある。

◆オイルクーラー
 左下図が純正の水冷式オイルクーラーであるが、油まみれで汚 れもこびり付いてまっ黒になってしまっており、左右に見える配 管からクーラントが循環して冷えると言う構造である。
 その内側を見てみると右下図の様に意外と綺麗であるが、冷却 水の錆がひどかった為に他のホースや配管と同様に、このオイル クーラの水周りも錆びている為に交換した。
 オイルは右上図の中心と左側に見える穴とで循環するが、確か に水温よりも油温の方が高くなるものの、これだけの容量でどれ だけ冷やせるかが疑問で、オイルの通過速度の方が速く冷却でき る時間と言うか、これだけの少ない面積でどれだけ冷やせるかだ が、小さな空冷式のオイルクーラーの方が引きまわし分の配管で も冷える為に効果的と思われる。

◆プラグ
 プラグもいつ交換したかは不明だったが、白金プラグと言って も中心電極だけでは一般のプラグと寿命は同等と考えた方がよく 、毎日乗れば2万キロ程度かそれ以下で交換した方が良く、乗り 方では低回転を多用するとカーボン付着の焼けが発生する為に、 マイナス電極の痛みがひどくなる為に交換次期が短くなる為に不 調になる前に注意して交換する。
 おそらく左上図の物が今回使用されていたプラグと思われるが 、箱の中には上図と下図の2本だけしか入っておらず、どつらの プラグが使用されていたかは不明である。
 しかし、エンジンを下ろした際の画像を見てもらうとわかるが 、冷却水が漏れない様に取り外したホースにプラグを挿し込んで いる部分もあった為に、これらのプラグが混入している可能性が あり、特に下図のプラグは右下図の様に中心電極が突き出してい るタイプで、なおかつ全く使用していないかの様に焼けた跡が無 く、電極同士が以上に接近して接触しているかの様に見える。
 本来は両方の電極が白金か、中心電極がイリジウムでマイナス 側電極が白金タイプと、両方の電極が処理された物を入れたい所 であるが、ノーマルの状態を把握したい為にスズキ純正の品番指 定による発注で普通の白金プラグを使用している。

◆電源ハーネス
 本来はインジェクター部分等のエンジン周辺部分のハーネスを 交換して欲しかったのだが、生産中止になったと言う話で同時に バッテリーのマイナス側ハーネスを交換してもらう指示をしてあ った為か、左下図の様にバッテリーのプラス側のハーネスを交換 してくれた様である。
 自動車用のハーネスは分割式になっており、どこまでが簡単に 分割できて交換できるかはパーツリストからはなかなかわからず 、今回たまたまスズキ自販側の配慮でバッテリーのプラス端子側 のハーネスが交換できた事はよかったかも知れない。
 それは右上図の様にバッテリーから噴出した希硫酸で端子自体 が錆びてしまっている為に接触的にも心配で、腐食が進むと端子 自体が破損する可能性もある為に危険を回避できた。
 このバッテリーのプラス側ハーネスからは様々に分岐しており 、左上図の様に意外と太い線材で2ヶ所に分岐されていたり、右 上図の様にスタータモータ等に分岐されている様である。
 おそらく左上図の2本は右上図のスタータモータに接続されて いる端子カバーが見える事から、スタータモータ用のヒューズ関 係に接続されているものと思われる。

◆フューエルフィルター
 今回の交換部品でもっともひどい状態で、更に一番危険を伴う 部品が下図の燃料用のフィルターで、左後輪の手前側に付いてい る為に、タイヤで巻き上げた泥水で錆び易いのだろう。
 このフューエルフィルターは単なるフィルターの為に、おそら くこの状態からでは20万キロ無交換と思われるが、本来は最低 でも10万キロ程度では交換すべき部品と思われる。
 もっとも、汚れた燃料を入れなければフィルターの目づまりを 起こす事は無い為に、今回の様に20万キロを使用しても大丈夫 だったのだろうが、今回は新品と交換しておいた。
 フィルターの目づまり以前の問題で、上図を見てもらうとわか るが、金属の表面がボロボロになってしまい、更にヒビが入った 部分からパラパラとはがれて来ているのがわかるだろう。
 おそらく20万キロまで走行してなくともこの様な状態になっ てしまっている車両もあると思われるが、これでフィルターケー スのつなぎ目や配管ノズルの継ぎ目等から燃料漏れを起こしてし まうと走行中や走行後の停車で発火する危険性がある。
 ニュース等でも軽トラの発火事故等のニュースをまれに聞くが 、この様な状態を見るとおそらくフィルターだけでなく燃料の配 管やホース等の亀裂から漏れて発火しているのではと思われる。

◆エンジンマウント
 左下図の部品は全てエンジンやミッションを支えているマウン トであるが、15年で4万キロ弱のセルボモードでもエンジンマ ウントのブッシュが切れていた事もあり、今回の10年で20万 キロも走行している物では全て交換した方が良いと判断して全て 新品のマウントに交換してもらった。
 特に右上図の様にゴムブッシュが細い部分で支えられている物 が破損しやすく、右上図でもわかる様に上側に中心が寄っており 、左右のゴムにはヒビが多く見えるのがわかるだろう。
 新車時には静かだった車もある程度使用しているうちに気付か ないもののエンジン音が大きくなり、他の新車を乗ると静かだと 思う事があるかも知れないが、同じ程度の遮音処理の車両であれ ばこれらのマウントがつぶれたり破損してしまい、直接車両にエ ンジンの振動が伝わってうるさくなっている場合もある為に、長 く乗るつもりであれば交換してみると良いだろう。
 左上図のマウントは内部が見えない為によくわからないが、右 上図のマウントは同形状の物2つでエンジンの左右で車両の前後 を支えるマウントである。
 これを見てもわかる様に右上図のマウントは左右に片寄っても 両端のゴムで支える様になっている為に、この部分のゴムが潰れ て硬くなったりすると振動吸収が悪くなり音が大きくなる。
 また、中心の太い部分が全てゴムブッシュとなっているが、こ の部分が片寄ったまま硬化したり、ヒビなどで柔らかくなっても 片寄ったままとなり振動吸収ができない状態となる。

◆配管とネジ
 車両の前後に燃料を通す長い燃料配管や、形状が大きいマフラ ー等は全て持ち帰らず廃棄してもらったが、短い配管関係はとり あえず全て箱に入っていた為に持ち帰った。
 その中にあった物が左上図のインタークーラーの固定金具だが 、これは固定金具だけではなく右側には冷却水の配管が溶接され ており、右上図の様にホースを接続する部分が見える。
 その為に冷却水の錆が残っている可能性がある為に交換した。
 更に左上図の様に他の部分のパイプ部分も全て交換して、当然 右上図の様に見るところ全てのホース等も錆だらけになってしま っている為に、全て交換する様に依頼して交換してもらった。
 交換部品で取り外したネジ類は全て新品に交換してもらえる様 に指示したが、左上図の様に一部ネジ類を並べてみたものの数が 多いために同じ物が揃っているだけにした。
 特に熱がかかるエキゾースト側はもちろんだが、今回はエンジ ンオイルが漏れていたりで汚れていたり、錆がひどい部分も予想 された為に、徹底的にリストアップしておいた。
 また、リビルトエンジンや新品部品でエンジンを組み立てた際 にはもちろんだが、エンジンオーバーホールの際にも熱がかから ないインテーク側の交換時には、スタッドボルトも含む全てのネ ジ類を交換した方が良いだろう。


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